研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、メーカーによる確認が済んでいるウシExosome不含FBS(SBI/フナコシ)を採用した培養系で増殖させた前立腺がん関連細胞株〔PNT2 (正常組織由来細胞・Normal adult prostatic epithelial cells)、LNCaP (アンドロゲン感受性前立腺がん細胞・Human prostatic adenocarcinoma cell line derived from the metastatic lesion of lymph node)、PC-3 (アンドロゲン非感受性転移性前立腺がん細胞・Human prostate adenocarcinoma, G-IV cell line)〕ほか由来の培養上清から、Exosome精製キット・MagCapture Exosome Isolation Kit PS(和光純薬)を用いた回収精製により、得られたExosome標品を粒度分布解析装置・ナノサイトで解析評価した結果、標準とする前立腺がん細胞株由来Exosome標品とともに、少なくとも、HTLV-1感染細胞株・HUT-102由来の標品には、Exosome相当の微粒子の存在を認めた。なお、前立腺がん細胞株由来の標準Exosome標品のうち、一部、PC3前立腺がん細胞株由来の標品については、後述のCD63抗体による免疫電験法での確認がすでに完了している。また、Exosome 分子マーカーとよばれているCD63およびCD9に対する特異抗体とともに、CAV1抗体やTax抗体を用いたWB解析の結果、CAV1ばかりでなく、HTLV-1感染細胞で特異的に発現するTax抗体も検出された。このようなATL細胞を特徴づけるExosomeの発見は、従来指摘されていた、固形がんの転移促進への寄与とは異なる、別の機能の存在を示唆するものである。
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