研究課題
本研究の目的は成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)に対して、ATL関連抗原を同定し、ATL関連抗原特異的抗体をファージディスプレイヒト抗体ライブラリー法により作成し、ATL関連抗原への抗体を発現するキメラ抗体受容体(chimeric antigen receptor)抗体発現T細胞を樹立し、免疫遺伝治療の開発を目指すものである。これまでに38例のATL患者細胞においてT細胞受容体レパトア解析を行ったところ、TCRVb2 11例 (28.2%)を占めた。本抗原は他の臓器での発現はなく、TCRの一部にのみ発現するため良好な標的抗原と考えられた。TCRVb2に対する抗体作成のためにRACE法によりTCRVb2の配列をクローニングし、組み換えレンチウイルスベクターを作成した。本ベクターによりJurkat細胞においてTCRVb2強発現細胞を樹立した。また本細胞を用いてTCRVb2抗原特異的抗体をファージディスプレイヒト抗体ライブラリーを用いて同定中である。また他のATL特異的抗原同定のためNOD/SCID/JAk3ノックアウトマウスを用いてATL細胞異種移植の系を樹立した。本モデルを用いることによりATL特異的抗原同定後に本抗原の癌幹細胞能の評価がin vivoにおいて可能である。また本モデルを用いることによりpatient-derived xenotransplantionマウスとして個別治療効果判定のモデルとなりうる。
すべて 2015
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Experimental Hematology
巻: 43 ページ: 944-950
10.1016/j.exphem.2015.06.303