研究課題
多発性骨髄腫の薬剤耐性には骨髄間質細胞との接着が重要である(接着耐性)。しかしながら、プロテアソーム阻害剤や接着分子・サイトカインに対する抗体によって接着を阻害しても抗がん剤耐性は完全には解除されない。本研究においては、骨髄腫細胞が産生するcirculating microvesicleに着目し、間質の相互作用とくに薬剤耐性におけるその役割とメカニズムを明らかにする。その上でcirculating microvesicleを治療標的とする方策を考案し、多発性骨髄腫の治療成績を向上させるための新たな分子基盤を提供することを目的とする。Circulating microvesicle(cMV)には大きく分けてexosomeとmicrovesicleの2種類がある。前者が30~100 nm、後者が200~1000 nmとサイズが異なることから、ショ糖密度勾配遠心法によって別々に分離することが可能である。本研究においては、まず骨髄腫細胞がcMVを産生していることを確かめるため、間質細胞との共培養を行い、培養液をショ糖密度勾配遠心にかけてcMVを分離する。cMVの単離は、電子顕微鏡を用い、サイズと特徴的な形態によって確認する。プロテアソーム阻害剤や抗VLA-4抗体などで接着を解除した状態でのcMV産生を再現するため、培養はBoyden chamberを用いて直接の接着を避けた状態で行う。通常の共培養および骨髄腫と間質細胞それぞれを単独で培養した上清を同様に解析して対照とする。今年度は骨髄腫細胞と間質細胞の直接の接触・接触なしの共培養・骨髄腫単独での培養の3つの条件で培養を行い、それぞれの上清からのcMVの分離システムを確立した。分離したcMVよりRNAを抽出し、RT-PCRアレイを用いて、含有されるmicroRNAをスクリーニングした。その結果、骨髄腫由来のcMVにはmiR-155とmiR-135bが多く含まれていることが明らかとなった。
2: おおむね順調に進展している
実験系の確立とcMVの単離を行い、多発性骨髄腫に由来するcMVに多く含まれる分子としてmiR-155とmiR-135bを同定した。
多発性骨髄腫由来のcMVに多く含まれるmiR-155とmiR-135bの薬剤耐性などへの関与とそのメカニズムを明らかにする。
年度末調整のため購入を控え、次年度にまわした消耗品があるため。
上記の支払いのため、早々に使用する。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 5件、 オープンアクセス 2件) 備考 (1件)
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