研究課題/領域番号 |
25461438
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
藤岡 龍哉 関西医科大学, 医学部, 講師 (70403045)
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研究分担者 |
薗田 精昭 関西医科大学, 医学部, 教授 (60206688)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 白血病幹細胞 / 抗体療法 |
研究実績の概要 |
CD34抗原陰性細胞分画に存在する新規白血病幹細胞の同定:急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病の計18症例について、フローサイトメーターを用いて幹細胞特性をもつ白血病細胞分画の解析を行った。その結果、病型により特徴的なパターンを示すことを明らかにした(未発表)。また、そのうちの9症例の白血病細胞をフローサイトメーターにより分取してNOGマウスへ骨髄内移植法により移植を行った。その結果、従来白血病幹細胞が限局して存在すると報告されている分画以外にも生着能力のある細胞分画を認めると同時に、CD34抗原陰性分画も生着能力を示すことがあることが確認された。 ニッチシグナルを阻害する抗体の作製、及び抗体のスクリーニング:最初に、特定の細胞分画に純化しない白血病細胞を免疫し、特異的な抗体が産生されることを確認することから着手した。現在までに急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病の各1例の白血病細胞をBALB/cマウスに免疫し、リンパ節細胞を回収してハイブリドーマを作製した。これらより多数のクローンの抗体を産生した。抗体のスクリーニングを行ったところ、急性リンパ性白血病に対する3クローンの抗体、及び慢性骨髄性白血病に対する3クローンの抗体が白血病細胞に対して特異的に反応し、有望な候補抗体であると考えている。6クローン全て改めてフローサイトメーターで単細胞分取を行い、モノクローナル抗体であることを厳格に確認している。現在、免疫沈降により抗原タンパクを分離し、質量分析を行う為の実験をすすめているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CD34抗原陰性細胞分画に存在する新規白血病幹細胞の同定については、予定通りの例数の実験を行うことができた。また、仮説どおりCD34抗原陰性細胞分画にも白血病幹細胞が存在する可能性が示唆される結果が得られているため順調に進行していると考える。 ニッチシグナルを阻害する抗体の作製、及び抗体のスクリーニングに関しては、免疫に必要な細胞数の問題から、現在までのところ特定の細胞分画に純化しない白血病細胞を用いて抗体産生を行っている。この実験により抗体産生システムを確立し、今後、より少ない細胞数で免疫することによって抗体産生を行ってゆく必要がある。 既に作製した抗体の標的抗原を同定するため、免疫沈降により抗原を分離し質量分析により同定を行う予定である。現在免疫沈降を行っているが、通常行われる標準的な手技では分離が不可能であることが分かった。そのため、方法の改善策を検討しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
CD34抗原陰性細胞分画に存在する新規白血病幹細胞の同定については、可能な限り移植実験の例数を増やし、これまで得られた結果の普遍性を確認する必要がある。 既に作製した抗体の標的抗原を同定するための実験において、複数のクローンにおいて標準的な方法によっては免疫沈降が行えないことが判明した。理由は確定されていないが、蛋白を溶解する際に標的抗原の高次構造が崩壊していることにより抗原性が消失していること、あるいは複合体蛋白に対する抗体が得られているが蛋白溶解時に複合体が解離することにより抗原性が消失していることなどが考えられる。蛋白溶解方法などについての代替案を検討してゆく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度は研究の進捗が予想よりも遅くなったため、使用額が当初予定されていた額より小さくとどまった。そのため前年のの未使用額がやや高額となった。当該年度は研究の進行速度が上がり、結果として前年度より使用額が上昇し、そのため通算しての当該年度の未使用額が前年度の未使用額を下回る結果となった。
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次年度使用額の使用計画 |
研究の進行速度が上昇を続けているため、それに伴い使用額が上昇すると予想される。当該年度未使用額を次年度に繰り越すことにより順調な研究の進行が可能となると考えられる。
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