CD3抗原陰性細胞分画に存在する新規白血病幹細胞の同定:急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病の計18症例について、フローサイトメーターを用いて幹細胞特性をもつ白血病細胞分画の解析を行った。その結果、病型により特徴的なパターンを示すことを明らかにした(未発表)。また、そのうちの9症例の白血病細胞をフローサイトメーターにより分取してNOGマウスへ骨髄内直接移植法により移植を行った。その結果、従来白血病幹細胞が存在すると報告されている分画以外にも生着能力のある細胞分画を認めれ、またCD34抗原陰性分画も生着能力を持つことがあることが確認された。 ニッチシグナルを阻害する抗体の作製、及び抗体のスクリーニング:最初に、特定の細胞分画に純化しない白血病細胞を免疫し、特異的な抗体が産生されることを確認することから着手した。現在までに急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病の各1例の白血病細胞をBALB/cマウスに免疫し、リンパ節細胞を回収してハイブリドーマを作製した。これらより急性リンパ性白血病に対する3クローン、及び慢性骨髄性白血病に対する3クローンの白血病細胞に特異的抗体を得た。 作製抗体の標的抗原の同定と特性の解析:作製抗体の標的抗原を同定するために、免疫沈降により抗原タンパクを分離し、質量分析を行っている。これまでに1つの抗体クローンの標的抗原が判明した(未発表)。さらに、ヒト骨髄由来CD271+SSEA-4+ Mesenchymal Stem Cellを用いた白血病細胞との共培養実験により、この抗体が抗白血病細胞効果を持つことが観察されている。
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