研究課題
1.抗F13自己抗体の性状:1)自己抗体のタイピング;新たに4例に抗F13-A自己抗体を検出した。その内2例では抗F13-B自己抗体が同時に検出された。論文未発表の15例では、10例はAa型のみ、1例はB型のみ、4例は両方のタイプの抗体を持っていることが判明した。Ab型は少ないものと推測される。2)Aa型自己抗体のエピトープマッピング;組換えFXIII-Aタンパク質をプロテアーゼ消化して50ペプチドを同定した。次にAa型14例、あるいは健常人血漿の存在下でプロテアーゼ消化後に生成される上述の50ペプチド量を比較し、健常人血漿存在下に比べて0.5未満になるペプチドを同定した。各症例の血漿存在下で2~17ペプチドの減少が認められ、7症例以上で減少が認められたペプチドは5種類であった。2種類はコアドメイン由来のペプチドで、1種類がバレル1、2種類はバレル2由来であった。バレル1、2由来のペプチドはFXIII-Bと結合する合成ペプチドの近傍に存在しており、自己抗体が結合することによりFXIII-Bとの結合が阻害されると同時に、トロンビンの接近を妨害して活性化が抑制されることが示唆された。2.抗FXIII自己抗体を生成する遺伝的背景:1)FXIIIの多型性;Aa型6症例、Ab型2症例の全エクソームシークエンスを解析した。F13A遺伝子は各症例0~2箇所(計4箇所)多型が認められた。データベースに登録されている健常者内頻度はいずれも0.06~0.31と非常に低かったので、これらの多型が抗原性の違いの原因になっている可能性がある。また、バレル1か2に変異が認められた5症例はいずれもAa型の症例であった。一方、F13B遺伝子は全例アジア人種に共通なR95H多型であった。2)免疫応答関連遺伝子の多型性;CTLA-4のT17A多型解析を行ったところ、1症例はホモ接合性でT、2症例がホモ接合性でA、5症例がヘテロ接合性で、特に頻度は高くなかった。HLAクラスII遺伝子のDRB1とDQB1についても解析したが、一定の傾向は認められなかった。
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