研究課題
マウスVWFに結合して活性を阻害する抗体(結合エピトープが血小板GPIb結合部位であるA1ドメイン)の探索を、マウスVWFに対して行ったところ、当研究室で保有する抗ヒトVWF抗体のスクリーニングのうち5D2がマウスVWFとヒトVWFに同程度に強く結合することが判明している。本検討にあたり本抗体を使用することとし、腹水より精製を行った。ADAMTS13-/-マウス(国立循環器病センター分子病態部から入手)とLdlr-/-Apob100/100マウスを交配を25年度から行っており、ADAMTS13を50%、0%に低下させた大動脈弁狭窄症モデルマウスを作成した。Ldlr-/-Apob100/100はジャクソン研究所から凍結受精卵として提供を受け、本学附属動物実験施設において凍結受精卵を融解・移植 (凍結受精卵はジャクソン研究所が指定する融解法)した。レシピエントを偽妊娠状態にして、精管結紮雄マウスと一晩同居後膣栓が確認された雌マウス (Jcl:MCH)を使用、麻酔処置し卵管に受精卵を常法により移植した。出産が得られたマウスをジャクソン研究所が指定するPCR条件にてgenotyping、ADAMTS13-/-マウスと交配させた。(山王堂公子技術補佐員)。Ldlr-/-Apob100/100マウスは低脂肪食飼育下においても大動脈弁に著明な圧較差を有する大動脈弁狭窄症が約30%に発症することが知られており、高脂肪食とすることによって、発症率は50%となる(Miller, 2011)。マウスに対して高脂肪食を与え、経時的にマウス用心エコーにて大動脈弁を観察(竹下)を行っているが、現在までのところ大動脈弁狭窄症の発症は見られていない。引き続き適切なタイミングで採血、検討を行うと同時に、手術により大動脈起始部の結紮モデルを作成し、上記モデルと併行してVWF、ADAMTS13活性の測定を行うこととしている。
2: おおむね順調に進展している
モデル①の作成についてはマウスVWFに結合して活性を阻害する抗体5D2の検討はすでに終了している。モデル②と併行して検討するため本系は待機している状態である。モデル②の作成についてはADAMTS13-/-マウスとLdlr-/-Apob100/100マウスとの交配を行い十分数ではないが得られた個体について、ASの発症を待機している。マウスの生存年齢から考えて②が研究期間終了間際に発症する可能性もあるので、手術による大動脈起始部の結紮モデルの作成を併行して検討している。全体的に若干の遅れが発生しているが、著明な遅延はない。
モデル①におけるAvWS治療後のトロンビン生成能についてはDDAVP、rFVIIa投与後、各タイミングで採血、PPPを用いてトロンビン生成試験(TGT)を実施、モデル②(ASモデル)ではADAMTS13活性が過剰となっていると予想される。抗ADAMTS13抗体(市販品)をASマウス尾静脈より投与、採血を行い、各項目について検討する。特にVWFマルチマー解析、VWF:RCo活性を測定し、VWF:RCoが最も低下するポイントにてtail bleeding timeを測定する。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)
Int J Hematol.
巻: 101(4) ページ: 362-8
10.1007/s12185-015-1734-z
Ther Apher Dial.
巻: 19(1) ページ: 93-4
10.1111/1744-9987.12201.
PLoS One
巻: 9(12) ページ: e116163.
10.1371/journal.pone.0116163.
Nat Med
巻: 20(12) ページ: 1464-71
10.1038/nm.3703.
J Hepatobiliary Pancreat Sci.
巻: 21(11) ページ: 824-8
10.1002/jhbp.142.
巻: 100(2) ページ: 200-5
10.1007/s12185-014-1596-9.
Thromb Res.
巻: 133(5) ページ: 772-81
10.1016/j.thromres.2014.02.025.