研究課題
後天性フォン・ヴィレブランド症候群(Acquired von Willebrand Syndrome;以下AvWS)は類例のない出血症状・発症パターンを呈する近年確立されつつある新たな疾患概念である。本研究ではVWD・AvWSのモデルマウスを検討し、AvWSにおける免疫学的発症機序、流体力学的な発症機序(大動脈弁狭窄症(AS)発症)の病態の解明と、単なる補充療法を超えた最適な治療法の開発を目指した。本症候群の臨床症状としては先天性von Willebrand病(以下VWD)との類似点が多く、本研究のおいては先天性VWDマウスにおける表現型との比較も考慮に入れて解析を行った。インヒビターを保有する先天性VWDのtype 3症例(VWF完全欠損例)においてだけではなく、インヒビター力価の高いAvWS症例ではDDAVPやVWF濃縮製剤が有効でなく、出血コントロールに難渋する。このような治療抵抗性のAvWSには活性型第VII因子製剤の有用性も報告されており、我々も治療経過中に抗VWFインヒビターを発生したvWD(Type3)患者におけるrFVIIaの有効性を検討した。rFVIIaは外因系凝固のイニシエーターであり、内因系凝固障害をバイパスさせるが、血小板無力症などの一次止血異常症にも欧州と我が国で認可された治療方法となっている。rFVIIaは活性化血小板上の第X因子を活性化することから、血小板を中心とした一次止血機構に一定の寄与をしているものと考えられる。このようなVWD、AvWSにおいて活性型第Ⅶ因子を投与した際の、トロンビン生成試験(TGT)、ROTEM (Rotation thromboelastgram)の各パラメーターの変化と出血傾向を観察し、特にAvWSに対するrFVIIaを用いた治療の有効性を評価することができた。
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