研究課題
[目的]ヒト初期リンパ球系分化におけるストローマ細胞の役割については明らかとされていない。ヒト初期リンパ球系細胞分化におけるストローマ細胞が産生するstromal cell-derived factor 1 (SDF-1)およびLFA-1を介した細胞接着の役割について、不死化ヒト骨髄ストローマ細胞との共培養系を用いて検討した。[結果]SDF-1の受容体であるCXCR4およびLFA-1は、CD34+CD38-CD45RA-未分化造血前駆細胞(HPC)での発現は低いものの、CD34+CD38-CD45RA+CD10+CD7+/-リンパ球系前駆細胞において発現が高くなり、CXCR4の発現はCD10+CD19+ proB細胞でさらに増強したがLFA-1の発現は低下した。HPCをストローマ細胞と共培養し、SDF-1とCXCR4受容体との結合を阻害する抗CXCR4ブロッキング抗体を添加したところ、HPCからCD7+CD10-TおよびCD10+CD19-Bリンパ球系細胞への分化、およびCD10+CD19-からCD10+CD19+proB細胞への分化を抑制した。ストローマ細胞の培養上清(CM)でHPCを培養した場合、抗CXCR4抗体はCD10+Bリンパ球系細胞への分化を抑制したもののCD7+CD10-Tリンパ球系細胞の生成には影響しなかった。一方、抗LFA-1ブロッキング抗体の添加は、ストローマ細胞上でのCD10-TおよびCD10+Bリンパ球系細胞への分化を抑制したが、CD10+CD19-からCD10+CD19+proB細胞への分化には影響を及ぼさなかった。[まとめ・考察] ストローマ細胞上での造血前駆細胞から初期TおよびBリンパ球系細胞分化においてSDF-1が必須であるが、非接着下でのTリンパ球系前駆細胞の生成には関与してしないこと、造血前駆細胞からTリンパ球系細胞への分化においてはLFA-1を介した細胞接着が重要であることが明らかとなった。
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