研究課題/領域番号 |
25461448
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
柏木 浩和 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10432535)
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研究分担者 |
冨山 佳昭 大阪大学, 医学部附属病院, 准教授 (80252667)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 血小板 / インテグリン / 活性化 |
研究概要 |
αIIbβ3細胞内領域とシグナル伝達:我々は、遺伝性巨大血小板減少症患者の解析から、αIIbβ3細胞内領域における複数のαIIbβ3恒常的活性化変異を見いだした。これらの変異が、どのように血小板形態、血小板数、機能に影響を与えているのかを明らかにするため細胞内シグナルについての検討を行った。その結果、いずれの活性化変異においてもFocal adhesion kinase(FAK)が恒常的に活性化していることが明らかになった。 αIIbβ3活性化変異ノックイン(KI)マウスを用いた検討:恒常的活性化変異であるαIIb(R995W)に相当するマウスαIIb(R990W)変異導入マウスを作成した。変異KIマウスはほぼメンデルの法則に則り生まれ、明らかな出血症状は認めなかった。血小板数は野生型(WT) 1.22±1.1(×106/ul)、ヘテロマウス[R990W(+/-)] 1.10±1.4、ホモマウス[R990W(+/+)] 0.91±1.1(mean±SD)とKIマウスで軽度低下しており、Flow cytometryにてKIマウス血小板では血小板サイズの有意な増大を認めた。血小板表面αIIbβ3発現はWTと比べヘテロマウスで74±3.4%であり、ホモマウスでは3.3±0.6%と著明な低下を認めた。出血時間はヘテロマウスではWTと差を認めなかったが、ホモマウスでは著明に延長していた。またコラーゲンおよびPAR4-TRAP刺激による血小板凝集もホモマウス血小板では著明に抑制されていた。以上のように、αIIb(R990W)KIマウスにおいて、ヒトと同様に軽度の血小板減少と血小板の大型化が認められた。また変異ホモマウスにおいては血小板αIIbβ3の著明な発現低下が認められ、血小板無力症様の表現型を呈することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現時点では、変異導入マウスを用いた研究を中心に、ほぼ予定通り進行している。
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今後の研究の推進方策 |
αIIbβ3活性化変異ノックインマウスを用いたより生体に近い状況における血栓形成を中心とした検討を予定している。まず流動条件下における血小板凝集能についての検討をフローチェンバー法を用いて検討する。また各種マウス血栓モデルを用いて、αIIbβ3活性化変異が血栓形成にどのような影響を与えるかの検討を行う。 更に、血小板減少をきたすメカニズムについての詳細な検討を予定している。血小板減少の原因としては活性化による血小板消費の亢進、あるいは異常シグナルなどによる血小板産生障害が関与している可能性がある。これらの可能性に関する検討を行う。 また、αIIbβ3の発現低下のメカニズムに関する検討を行うことも予定している。血小板表面でのαIIbβ3の発現は確認されているが、巨核球における発現、proplateletにおける発現などを検討することによりそのメカニズムの解明を目指す。
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