研究概要 |
マウスと同様に、健常人でも、PD-1+、CD4+, CD44+のフェノタイプを示す ”免疫老化細胞” Tsenが、加齢に伴って増加することが解った。Tsenは、固相化CD3, 28による刺激でも、PD-1陰性細胞と比較して、細胞増殖に乏しい。細胞培養上清での検討では、Tsenの、主たる産生サイトカインは、インターフェロンガンマ(IFN-gamma)であった。Tsenでは、培養後でも、増殖した細胞が著しく少ないにも関わらず、IFN-gammaの産生量は、PD-1陰性細胞と同様程度であった。PMA, IONO刺激後の、細胞内染色では、免疫老化細胞の大部分が、IFN-gamma, IL-2を産生していた。マウスでのTsenでは、オステオポンチンの産生が大量に認められたが、人Tsenでは、この所見は明らかではない。マウスTsenでのマイクロアレイの結果をふまえた、人TsenでのqRT-PCR の結果でも、cebpa, sostdc1,spp1などが高く、細胞増殖に関わるc-mycなどは低かった。今後は、老化などに関わる分子に関して、miRNAマイクロアレイでの検討を予定している。 また、Tsenは、単一集団ではない。特に、ケモカインレセプターの発現パターンからは、Th-1様細胞を主に、Th-2、Th17などの、混合した細胞群である事が解った。リンパ系細胞の主たる転写因子の検討では、通常のTh1とは異なった転写因子が主になっていて、これが、免疫老化細胞のサイトカインやPD-1の発現を調節する可能性がある。
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