研究実績の概要 |
人末梢血中のT細胞を用いて、免疫老化についての検討を行なっている。CD4陽性、CD44陽性、PD-1陽性細胞を、島谷、湊らのマウスでの検討結果に基づいて、人免疫老化細胞(HuTsen)と定義した。 1)健常人について:年齢とともに、末梢血 T細胞中の、Tsenの割合は増加を示した。また、CD4陽性、CD44陽性、PD-1陰性細胞と比較して、T細胞レセプター刺激でも、増殖力を欠いていた。転写因子も、mRNA、核内蛋白両方の検討でも、Eomesdermin陽性細胞の割合が高いなど、特徴的であった。また、産生サイトカインの検討を行うと、インターフェロンガンマの産生が多い。また、ケモカインレセプターの発現パターンから、Tsenの検討をおこなったところ、Th1様, Th2様, Th17様, Tfh様などのすべてのタイプの、Thに類似したTsenが存在下が、中でも、Th1様のものが主流であった。一方、PD-1陰性群では、Th2様細胞が主流であった。 2)血液疾患について:血液疾患についても、Tsenの検討をおこなった。血液疾患でも、マウスのような異常なTsenの増加は認められず、同年代の健常人とほぼ、同様の割合であった。また、昨年よりも、疾病数、症例数を増やし検討した。また、慢性血液疾患では、同一症例について、時間をおいて、同様の検討を行なったたおころ、同様の傾向であった。 マウスと同様に人でも、免疫老化細胞Tsenは存在するが、どのような役割を担っているかは、今回の研究期間では十分には、解明できなかった。
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