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2013 年度 実施状況報告書

特発性造血障害におけるNKG2Dリガンド発現の臨床的意義の確立

研究課題

研究課題/領域番号 25461457
研究種目

基盤研究(C)

研究機関和歌山県立医科大学

研究代表者

花岡 伸佳  和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (40433370)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード特発性造血障害 / NKG2D
研究概要

本研究は、血液難病の死因となる特発性造血障害における膜発現型および遊離型NKG2Dリガンドの病態生理学的意義を追究し、NKG2Dリガンド発現の臨床的意義の確立を目指している。
平成25年度は、まず血漿中の遊離型NKG2Dリガンドを検出するためにELISA法を確立した。新たに発生した造血障害患者を対象とした。単クローン抗体を用いた感度の高いサンドイッチ法によるELISA法の確立を進めた。その結果、従来の遊離型MICA発現解析に加えて、GPI結合型リガンドであるULBP1およびULBP2に対する測定法を手にした。現在、これまで遊離型MICA発現のみ解析していた血漿サンプルを用いて、今回測定法を確立した遊離型ULBPの発現量を測定中である。
これと同時に、新たに当施設で発生した造血障害患者を対象としたフローサイトメトリー法による顆粒球膜上に発現するNKG2Dリガンド、細胞傷害性(CD2陽性)リンパ球膜上のNKG2D受容体およびリンパ球内CD3ζ鎖の検出も行った。健常人には検出されない顆粒球膜上のNKG2Dリガンド発現は、これまで蓄積している結果と同様に高率に検出できている。今後も統計的な評価が可能となるまでこの蓄積を続けていく。
また、これらのリガンドが血球由来であることを証明するために定量的PCR法によるNKG2DリガンドmRNA発現解析も予定している。検出法はこれまでに確立済みである。ある程度のサンプル数が確保できるまで、RNAの抽出が可能な状態で血球の保存を継続している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまで測定が困難だった血漿中遊離型ULBPの定量が可能となるELISA法を確立できたことは、本研究を大きく進展させた。平成26年度の研究課題も予備実験では順調に成果が得られており、研究の進展は予定通り順調と考える。

今後の研究の推進方策

平成26年度は血漿中遊離型NKG2DリガンドのNKG2D免疫抑制活性の検討を行う。具体的には、
1)免疫細胞上のNKG2D発現解析:血漿中遊離型NKG2DリガンドによるBFS患者リンパ球上のNKG2D受容体発現量や発現程度の変化についてフローサイトメトリーで解析する。まず、遊離型NKG2Dリガンド濃度が高いBFS患者の血漿と共培養し、リンパ球上のNKG2D発現変化を観察する。次に各種リガンド抗体を用いてブロックし、この反応に関与したNKG2Dリガンドの同定を試みる。さらに、患者血漿からリンパ球を分離してリンパ球上のNKG2D発現回復過程を経時的に観察し、遊離型リガンドの影響が可逆的であるか検証する。また、同定されたNKG2Dリガンドの精製ペプチドをリンパ球と共培養し、ペプチドの濃度依存性にNKG2D膜発現が変化することも確かめる。
2)免疫細胞内シグナル伝達経路解析:NKG2D免疫の長期作用により、リンパ球のシグナル伝達に関与するCD3ζ鎖の可逆的な欠損誘導により免疫不全状態に陥る(Hanaoka N, J Immunol 2010)。BFS患者のリンパ球内CD3ζ鎖発現の程度を測定し、免疫細胞内シグナル伝達経路の動態を解析する。また、このシグナルに対する免疫細胞の反応はIFNγなどのサイトカインの放出量の変化で確認する(ELISA法)。
3)血球傷害解析:血球傷害の程度は血球から放出される乳酸脱水素酵素(LDH)を高感度に測定することにより判断できる(LDH測定法)。NKG2Dリガンド膜発現血球を標的にして、遊離型NKG2Dリガンドを含む患者血漿または精製NKG2Dリガンドペプチドで処理したリンパ球を用いて血球傷害実験を行う。抗NKG2D抗体を用いてNKG2D免疫の関与を確認する。

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公開日: 2015-05-28  

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