研究課題/領域番号 |
25461458
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
石田 陽治 岩手医科大学, 医学部, 教授 (70151389)
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研究分担者 |
古和田 周吾 岩手医科大学, 医学部, 助教 (30418884)
伊藤 薫樹 岩手医科大学, 医学部, 教授 (60316362)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 血小板造血 / 巨核球 / 血小板前駆体 / 成熟血小板 |
研究実績の概要 |
今までに、骨髄巨核球は成熟血小板を産生するのではなく、血小板前駆体を静脈洞に放出していることを報告した。それらが末梢血管の中で成熟血小板にどのように成熟していくかを検討した。マウスの静脈に、血小板前駆体が存在しているはずなので、腹部大静脈から採血し、血小板前駆体の有無を検討した。一般に抗凝固剤として使われているEDTAを使用した場合は、胞体突起やthick protrusion (TP) 等の血小板前駆体はほとんど見つけられなかったが、クエン酸ソーダを使用した場合は、血小板前駆体を多数認めることができた。 (1) in vitro 血小板前駆体がどの分画に多く存在するかを検討した。静脈血を低回転で遠心して、血小板富血漿(PRP)、白血球buffy coat (BC) に分画した。PRPを上、中、下層にわけた。血小板前駆体が一番含まれている分画は、BCであり、PRPの下層、中層、上層の順であった。PRPの3つの層をフロー-サイトメトリーにかけたところ、上層は成熟血小板のゲートと一致したが、下層は成熟血小板のゲートの右上方部分を占めた。中層は上層と下層の中間であった。これらの血小板前駆体をin vitro培養して、経時的に観察したところ、TPは次第に細長くなり、両端にバーベル様腫瘤を持つようになり、中央部で切断され、成熟血小板と同じようなサイズに成熟した。 (1) in vivo GFPマウス腹部大静脈から得られた静脈血からPRPを作成し、上、中、下層にわけ、ワイルドマウスの尾静脈から投与した。経時的に採血し、GFP陽性血小板の増減少率を検討した。上、中層投与では、血小板数増減少率は上昇せずに下降したが、下層投与では、6時間まで血小板増減少率は増加を示し以後減少した。 以上の結果から、骨髄巨核球から放出された血小板前駆体は血管床で成熟血小板になるものと推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究課題名「血小板はどこでどのように産生されるか」である。血小板前駆体が末梢血中に存在すること、in vitroの培養で血小板前駆体が成熟血小板になること、in vivo投与で、血小板前駆体を多く含む分画は、一過性に血小板が増加して、6時間後から減少することなどから、我々の仮説である、血小板産生は、骨髄で産生されるのではなく、血小板前駆体が血管床で成熟血小板に変化するものと考えられた。つまり血小板産生様式が明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
研究課題名「血小板はどこでどのように産生されるか」である。どのように産生されるかと血管床で産生されることは明らかとなったが、血管床のどこでという具体的な場所は、明らかとなっていない。今年度の目標として、血管床のどこでということを明らかにしていきたい。 GFPマウスの血小板前駆体を投与した際に、経時的に(数分以内~1時間程度)血管組織を固定して、蛍光を発する血小板前駆体あるいは成熟血小板がどの血管床に存在するかを明らかにするとともに、in vivo imaging法を用いて、そこでの血小板産生様式を可視化することも目標にする。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究が思いのほか早く進んだため、当該年度の研究費が足らなくなり、次年度の研究費からの支出をお願いしました。 マウス静脈血中に存在する血小板前駆体を精製する技術を確立し、それによって濃縮される血小板前駆体のin vitro培養によって成熟血小板に成熟していく様子をimaging capture できたことが、この研究の早い進展につながった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の研究目標としては、血管床のどの部位で、成熟血小板が産生されるかを明らかにする。 GFPマウスの血小板前駆体を投与した際に、経時的に(数分以内~1時間程度)血管組織を固定して、蛍光を発する血小板前駆体あるいは成熟血小板がどの血管床に存在するかを明らかにする
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