今後の研究の推進方策 |
(背景)同種造血幹細胞移植は再発・難治性造血器腫瘍に対して最も有効な治療であるが、その成否はGVHDの制御の上に成り立つ。HLA適合同胞からの移植が最も安全で成功率が高いがドナーが見つかる可能性はおよそ3割である。代替移植法の一つとして血縁者間HLA半合致移植が研究されている。拒絶と重症GVHDを予防するためin vivo T cell depletionが必要である。現在ATG/Alemtuzumab/PT-CYの3剤が用いられるがその優劣は不明である。ヒトを対象にこれらの薬剤の効果を直接比較することは困難である。そこでヒト化マウスGVHDモデルをHLA半合致移植に見立てて3つの薬剤のGVHDに及ぼす効果を検証する実験を計画した。(研究目的)ヒト化マウスGVHDモデルを用いてATG、Alemtuzumab、PT-CYの3剤による免疫抑制効果を比較検証する。(方法)ヒト化マウスGVHDの作成。NOGマウスに2.5Gy照射後ヒト末梢血単核球5x106個を移植しGVHD様の病態を作成し以下の5群で観察する。1.コントロール:2.5Gyのみ 2.GVHD群:2.5Gy+5x106MNC 3.ATG投与群:GVHD +ATG 5mg/kg, -4, -3day, ip 4.Alemtuzumab投与群:GVHD+Alemtuzumab 0.25mg/kg, -4, -3day, ip 5.PT-CY投与群:GVHD+CY 50mg/kg, +3, +4day, ip
① 生存率とGVHDクリニカルスコアの観察:週2回生存率と体重、活動性、皮膚、毛並み、姿勢 ②GVHD標的臓器における病理組織の観察:肝臓、消化管、皮膚、肺の病理(HE, humanCD45, CD4, CD8)
以上の観察から3種の免疫抑制療法のうちどの方法が最も有効であるかが明らかになる
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