ヒト化マウスGVHDモデルを用いて、HLA半合致移植に最適な免疫抑制療法の研究開発をおこなった。 今回研究対象とする、AlemtuzumabとATGはヒトリンパ球特異的に作用する抗体医薬品であるため、Xeno-graft model(ヒト化マウスGVHDモデル)を用いて研究をおこなった。 NOGマウスにγ線2.5Gy照射後、ヒト末梢血単核球500万個移植するとGVHDをきたし、30日以内に全例死亡することを確認した。このモデルを用いて、Alemtuzumab/ ATG/ PT-CYによる治療実験を行った。無治療のGVHDマウスは、4週間で全例が死亡する一方で、ATG治療群は100%生存した(P=0.0001)。しかし、PT-CY群はわずかに生存率を改善した(P=0.146)。更に、Alemtuzumab治療群はATGとPT-CYの中間の生存率を示した(P=0.004)。 そこで、移植後のマウス脾細胞を採取し、ヒト細胞のキメラ率をフローサイトメトリー法で観察した。GVHD群では、およそ6割のヒト細胞の生着を認めた。ATGはほぼ100%ヒト細胞の生着を阻害した。一方、Alemtuzumabで3割、PT-CYで6割のヒト細胞の生着が観察された。更に、移植後マウスの各種臓器を観察したところGVHD群では、肝、肺、腎にヒトCD45陽性細胞の浸潤が顕著であった。一方、ATG群ではほぼ完全にヒトCD45陽性細胞の浸潤を抑制した。予想に反して、PT-CYでは浸潤が少なく、Alemtuzumabでは浸潤が多く観察された。 加えて、制御性T細胞の動態を観察したところ、GVHD群では3.7±1.0%観察された。ATG群では、全く観察されず、Alemtuzumab投与群で1.8±0.8% (P=0.01)と低下した。PT-CY治療群で4.2±1.1% (P=0.48)と比較的多く観察された。
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