血栓は、血小板GPIbと血漿タンパク質であるフォン・ビルブランド因子(VWF)の相互作用が発端となって形成される。本研究では、VWFに特異的に結合してGPIb依存性の血小板凝集を惹起するヘビ毒由来タンパク質のボトロセチン2に着目し、VWFやGPIbとの結合に重要なアミノ酸残基を同定した。さらにGPIbとの結合に関与する2つの塩基性アミノ酸を酸性アミノ酸に置換することで、VWFに結合するが血小板凝集を惹起せず、逆にVWFのによる血小板凝集を阻害する変異体ボトロセチン2の作製に成功した。本研究はVWFを標的としたユニークな抗血栓剤の開発につながる可能性を示唆した。
|