研究課題
膠原病患者における主な死因の一つとして重要である肺高血圧症(PH)は、非可逆的右心肥大に引き続く致死性の右心不全を発症するいまなお予後不良の疾患であり、その克服が課題となっている。ここで、核蛋白質HEXIM1は転写伸長反応促進因子P-TEFbの活性化を抑制する分子であり、心肥大を抑制性に制御する可能性が示唆されている。申請者らは、HEXIM1の過剰発現は培養心筋細胞における、エンドセリン1誘導性の心肥大関連遺伝子の発現や細胞肥大を抑制し、低酸素飼育によるPHマウスモデルにおける右心肥大発症を抑制することを明らかにした。そこで、膠原病性PH-右心肥大-右心不全病態におけるHEXIM1の意義を詳細に解明し、HEXIM1を標的とした右心肥大制御に基づいた新規膠原病性PH治療法開発の分子基盤を構築することを目的とした。これまでに、「低酸素誘導性PHモデルマウス」を用い、「HEXIM1は、低酸素条件下で誘導される低酸素誘導因子HIF-1αの蛋白発現量やその標的遺伝子であるVEGFなどの遺伝子発現を抑制し、右室心筋の血管新生を抑制することで右心肥大を抑制する」、ことを明らかにした(Yoshikawa et al., Biochem Biophys Res Commun, 2014)。さらに、「ブレオマイシン誘導性肺線維症-PHモデル」を用い、HEXIM1による膠原病性PH―右心肥大発症の抑制効果を明確にした(投稿中)。HEXIM1誘導薬の候補薬剤も同定しており、現在、膠原病性PH-右心肥大-右心不全発症抑制効果について解析を進めている。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)
Nature Communications
巻: 6 ページ: 6693
10.1038/ncomms7693.
http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/Rheumatol/allergy/achievement.html