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2014 年度 実施状況報告書

中枢神経系に対する抗U1RNP抗体の病原性に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 25461472
研究機関京都大学

研究代表者

藤井 隆夫  京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70255462)

研究分担者 橋本 求  京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60512845)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード全身性エリテマトーデス / サイトカイン / ケモカイン / 自己抗体 / 中枢神経障害
研究実績の概要

Neuropsychiatric systemic lupus erythematosus(NPSLE)の精神症状は、脳脊髄液(CSF)中の抗NR2抗体やIL-6などのサイトカインと相関することが報告されている。本年度はCSF中の抗NR2抗体および抗U1RNP抗体を測定し、CSF中のサイトカインおよびケモカインに与える影響を検討した。当科で診療したNPSLE患者64名(女性56名、平均年齢36.2歳)を対象とした。CSF中の抗NR2抗体はELISA、抗U1RNP抗体はRNA-免疫沈降法、IL-6,IL-8, monokine induced by IFN-γ(MIG)およびIFN-γ-induced protein 10(IP-10)はマルチプレックス分析システムを用いて測定した。対照として、SLEでNPSLEおよび炎症性神経障害が否定された患者13名のCSFを用いた。その結果、1)CSF-IL-6ではCSF抗NR2抗体陽性群が陰性群およびControl群よりも有意に高かった(65.3vs.20.0,17.5pg/mL)が、CSF-MIGではCSF抗U1RNP抗体陽性群が高値となる傾向を認めた。2)CSF-抗NR2抗体単独陽性例(NR2,15名)、CSF-抗U1RNP抗体単独陽性例(U1RNP, 8名)、両陽性例(DP, 7名)、両陰性例(DN, 34名)の4群にわけると、DP群で最も精神症状の割合が高かった。またCSF-IL-6, CSF-MIGおよびCSF-IP-10ではDP群が他の3群に比し最も高値であった。しかしながら、CSF-抗U1RNP抗体の存在が血液脳関門の透過性やCSF-抗NR2抗体価に影響を与えていなかったことから、抗U1RNP抗体の存在下でこれらの液性因子が高濃度になる機序は現時点で不明であるため、来年度に詳細に検討する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

臨床的な検討はほぼ終了したが、in vitroにおける検討がまだ不十分である。しかしすでにその構想は確定しており、培養細胞も手に入れているため、研究全体で大きな支障はないと考えている。

今後の研究の推進方策

当初考慮した、抗U1RNP抗体あるいはその免疫複合体が血液脳関門に与える影響の検討はあまり有意義と思えないため、培養細胞を用いて、抗U1RNP抗体(およびその免疫複合体)あるいはそれにかかわるサイトカイン(特にIFN-alfa)によりその細胞(特にastrocytesなど)がどのような挙動を示すかを確認する。今後はin vitroにおける検討が中心となる。

次年度使用額が生じた理由

ほぼ予定どおりの支出であったが、in vitroの実験試薬の購入がすぐには不要であったためわずかに繰越金が生じた。

次年度使用額の使用計画

平成27年度すぐに培養細胞の購入などに使用する予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2014 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Direct and Indirect pathogenic roles of autoantibodies in systemic autoimmune diseases.2014

    • 著者名/発表者名
      Takao Fujii
    • 雑誌名

      Allergol Int

      巻: 63 ページ: 515-522

    • DOI

      10.2332/allergolint.14-RAI-0801

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Association between anti-U1 ribonucleoprotein antibodies and inflammatory mediators in cerebrospinal fluid of patients with neuropsychiatric systemic lupus erythematosus.2014

    • 著者名/発表者名
      Tomoko Yokoyama, Takao Fujii, Seiko Kondo-Ishikawa, Noriyuki Yamakawa, Masayoshi Nakano, Naoichiro Yukawa, Hajime Yoshifuji, Koichiro Ohmura, and Tsuneyo Mimori.
    • 雑誌名

      Lupus

      巻: 23 ページ: 635-642

    • DOI

      10.1177/0961203314522337

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Direct and indirect pathogenic roles of autoantibodies in neuropsychiatricsystemic lupus erythematosus.2014

    • 著者名/発表者名
      Takao Fujii
    • 学会等名
      第43回日本免疫学会総会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2014-12-10 – 2014-12-12
    • 招待講演
  • [学会発表] 全身性自己免疫疾患における自己抗体の臨床的意義とその病原性について2014

    • 著者名/発表者名
      藤井隆夫
    • 学会等名
      第42回日本臨床免疫学会総会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2014-09-25 – 2014-09-27
    • 招待講演
  • [学会発表] Neuropsychiatric SLE患者脳脊髄液中の抗NR2抗体と抗U1RNP抗体がIL-6に与える影響2014

    • 著者名/発表者名
      近藤聖子、藤井隆夫、石郷岡望、山川範之、橋本求、井村嘉孝、湯川尚一郎、吉藤元、大村浩一郎、三森経世
    • 学会等名
      第42回日本臨床免疫学会総会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2014-09-25 – 2014-09-27
  • [学会発表] 自己抗体の基礎から臨床まで2014

    • 著者名/発表者名
      藤井隆夫
    • 学会等名
      第58回日本リウマチ学会総会・学術集会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2014-04-24 – 2014-04-26
    • 招待講演
  • [学会発表] 全身性エリテマトーデスにおける中枢神経障害について2014

    • 著者名/発表者名
      藤井隆夫
    • 学会等名
      第58回日本リウマチ学会総会・学術集会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2014-04-24 – 2014-04-26
    • 招待講演
  • [備考] 京都大学医学部附属病院リウマチセンター

    • URL

      http://www.racenter.kuhp.kyoto-u.ac.jp/

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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