研究実績の概要 |
中條―西村症候群は、本邦にしか報告のない原因不明の遺伝性炎症性疾患である。近年我々はプロテアソームサブユニットの疾患特異的変異とその活性低下を見いだした。本症候群は世界で初めてのヒトにおけるプロテアソーム機能不全症である。 プロテアソーム活性低下に起因する炎症関連分子増加機構を分析し、他の炎症性疾患病態への関与を検証する。初めての機能不全症から解明される新規自己炎症病態を理解することは、他の炎症性疾患の病態理解を深めるとともに、新しい治療表的分子の同定と病勢判定検査の開発に貢献できる。本研究は炎症制御戦略の新展開に繋がると期待される。 培養細胞をプロテアソーム阻害剤(MG-132, Lactacystin, Epoxomicin, MG-115, MG-262)存在下に培養を行い、培養可能な細胞死を起こさない薬剤濃度を得た。血清刺激を起点として培養液交換後の時間経過で遺伝子転写産物資料を採取した。 遺伝子転写産物は定量的リアルタイムPCRで行い、内性対照遺伝子転写産物から算出される指数で補正した。 対象遺伝子は対象遺伝子(リン酸化部位), CREB (Ser133), Erk/MAPK 1/2 (Thr185/Tyr187), IκBα (Ser32), JNK/SAPK1 (Thr183/Tyr185), p38/SAPK2A/B (Thr180/Tyr182), p70 S6 Kinase (Thr412), STAT3 (Ser727), STAT5A/B (Tyr694/699)などである。 IP-10に加えて研究初期段階で得た蛋白質血清中濃度測定を行った。対象は病態の異なる炎症性疾患群と連結不能な環境で検討を行った。
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