研究課題
基盤研究(C)
ベーチェット病は、中年以降の患者が多く自己免疫の病態というよりは炎症制御に問題のある自己炎症症候群に近似の病態によると推定されることから、末梢血の好中球やT細胞受容体 gamma/delta + T細胞、およびマクロファージ等の自然免疫系細胞にエピゲノム異常が見られると予想し、本研究においては特にヒストン修飾の変化を細胞分画毎に解析する新規検査法およびそれによる病態の把握法の開発を目指すことを目的とした。平成25年度にはまず、本学倫理委員会および大学病院IRBにより本研究の承認を得た後、同意取得後の健常者末梢血を用いて、細胞表面マーカにて好中球、CD4+T細胞、CD8+T細胞、T細胞受容体 gamma/delta + T細胞、マクロファージおよびB細胞を染色した後、既報を基に申請者が改良した細胞内染色法によりヒストン(H)のH3K4、H3K9、およびH3K27のメチル化を染め分け、FACSにて解析した。その結果、再現性良くそれぞれの細胞群における健常者のヒストンメチル化パターンを得る事が可能となった。これを基に、当科外来通院中または入院中のベーチェット病患者に口頭および文書にて同意を得た上で臨床上必要な末梢血採血時に本研究用にも血液を戴く事にした。現在まで10名のベーチェット病患者の末梢血を用いて解析検討を行った。その結果では、ベーチェット病患者では、健常者に比して末梢血のT細胞受容体 gamma/delta + T細胞において、H3K4me3の異常高値が認められている。一方、H3K27me3には健常者とベーチェット病患者間には相違は認められていない。今後患者数を増やして更なる検討を行う。また、機能との関係を検討する予定である。
2: おおむね順調に進展している
大学倫理委員会での承認においては順調に進んだ。末梢血細胞内染色法によって、ヒストン修飾の分類を行う技術は、新規技術であり抗体の選定、細胞条件等当初予定より若干遅れ気味ではあるが、その後の患者リクルートメントにおいてやや遅れを取り戻しつつある。
ベーチェット病患者の多大なご協力により、患者リクルートメントは順調に進んでいるが患者絶対数および活動性の高い患者の数は十分とは言えず、研究の推進のためには今後他施設の協力を要請する必要が出る可能性がある。そのためにも、当科における患者において意義のある研究結果が示される必要がある。
物品購入において価格値下げにより若干の変動があり、最終的に4円繰り越しとなった。消費税増加があるため、次年度にて使用する予定である。
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