関節リウマチ(RA)治療は、生物学的製剤の登場により寛解が現実的な目標となる時代となった。現在、適切な治療薬の選択、寛解率のさらなる向上、その先の治療中止を実現するために、個別化医療の方向が模索されている。申請者らがこれまで取り組んできたRA末梢血トランスクリプトーム解析を罹患関節の病変部位へ応用するために、新たに考案したエコーガイド下関節液微量採取法を用いた臨床研究を立案した。本研究によりヒトRAの病態解析に加え、収集したデータを基にした個別化医療のためのアルゴリズムを新たに確立することによってRAの治療成績向上の実現を目指す。本年度は、昨年に引き続き、関節リウマチにおける新規低侵襲検査法の開発に関する臨床研究を行った。 1 穿刺針、組織生検針の検討 末梢血を対象としてマイクロ針を用いた採取法、検体の質(蛋白質、RNA)の条件の検討行ったところ、検体量および検体取得率の点で十分と考えられた。 2 エコーガイド下滑膜微量採取法を用いた探索的RA臨床研究 モデル系を用いた組織生検針の予備的検討を引き続き行ない、研究プロトコールの詳細の策定し、倫理委員会承認を得た。H26年に臨床研究を開始し4例(手首および膝関節)にこれまで実施した。全例とも安全に実施でき、合併症もなかった。有効性についても診断への補助などに有用であることが確認され、今後、引き続き予定症例数を目標に症例検討を行う予定である。
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