研究課題
本研究は、近年目覚ましく発展している腸内細菌メタゲノム解析データが、ヒトリンパ球機能と相関しているという仮説のもとに、健常人および自己免疫疾患患者におけるそれぞれのパラメータを収集および解析するものである。平成27年度は、ベーチェット病12検体、健常人12検体まで測定検体を増やし、解析および論文作成を実施した。解析においては、昨年同様にオープンソースのQIIMEソフトウェアを中心に実施した。具体的には、元データの2.4GBのFastqファイル(テキストファイル、遺伝子約8千4百万リード数の解析結果)を同ソフトでフィルタリング・アノテーション・クラスタリングを実施した。その結果の菌種構成割合を統計処理するとともに、さらに同ソフトでαおよびβ多様性を計算した。また同データを、PICRUStというソフトにて解析することによって、菌種構成の分岐図を作成し、引き続き有意差をもって疾患およびコントロールそれぞれに優勢となっている菌遺伝子機能を検討した。以上の結果、ベーチェット病に特徴的な菌種構成が得られ、そのことを論文化・投稿し採択された(Shimizu J et al. PLOS ONE、印刷中)。また、菌遺伝子機能までの情報をまとめて邦文誌に総説を投稿した(清水ら アレルギーの臨床 2016;36:147-152)。このベーチェット病における腸内細菌叢遺伝子機能のデータは、他疾患のデータと比較し論文化する予定である。上記の結果より、本研究の柱の一つである末梢血の「T細胞機能」の検討は大幅に簡略化可能と判断し、プロトコール作成を完了させた。すでに研究機関を本学に加え三宿病院、自衛隊中央病院、ともクリニックまで拡張しているが、今後さらに、横浜市立大学病院付属市民総合医療センター(炎症性腸疾患センター)および防衛医科大学校病院(消化器内科、膠原病アレルギー内科)も参加予定である。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち謝辞記載あり 3件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
アレルギーの臨床
巻: 36 ページ: 147-152
PLoS One
巻: 11 ページ: e0153746
10.1371/journal.pone.0153746.
Clin Rheumatol.
巻: 34 ページ: 1-7
DOI 10.1007/s10067-015-2966-2