研究課題/領域番号 |
25461496
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
瀧澤 淳 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (70463990)
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研究分担者 |
尾山 徳秀 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任准教授 (10600489)
曽根 博仁 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30312846)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | MATリンパ腫 / IgG4関連疾患 / MYD88遺伝子 / 眼窩MALTリンパ腫 / リンパ形質細胞性リンパ腫 / MALT1遺伝子 / 原発性マクログロブリン血症 |
研究実績の概要 |
新潟大学血液内科においてIgG4関連疾患の診断が可能であったMALTリンパ腫69例例中11例(16%)にIgG4関連疾患の合併が認められた。特に眼窩(41例中10例:24%)でIgG4関連疾患合併例が高頻度であった。他部位は肺で8例中1例(13%)に合併を認めるのみであり、消化管、唾液腺、甲状腺など他部位には合併が認められなかった。 次に2001年2月から2015年7月に診断された初発成熟B細胞腫瘍39例についてMYD88変異を解析した。対象は、WM/LPL 7例、MGUS(IgM) 1例、CLL 6例、PLL 1例、HCL 1例、MALTリンパ腫23例(IgG4関連疾患が背景にある6例を含む)。患者組織凍結保存検体(30例)あるいはパラフィン包埋保存検体(9例)よりDNAを抽出し、PCR法およびダイレクトシークエンス法(サンガー法)によりMYD88の変異解析を行った。 凍結組織/細胞では30例中29例(97%)で変異解析が可能であったが、パラフィンブロックでは9例中変異解析は6例(67%)しか解析できなかった。凍結組織/細胞に比べ、パラフィンブロックの検出率が低い傾向であった(p=0.009)。病理診断別ではWM/LPLは検討可能であった6例中5例(83%)にMYD88変異が認められた。他にMYD88変異が認められたのはMALTリンパ腫20例中1例のみ(5%)であった。他のCLL6例、PLL1例、HCL1例、MGUS1例は全てMYD88変異は陰性であった。WM/LPLは他疾患に比べ有意にMYD88変異が多い傾向があった(p<0.001)。MALTリンパ腫の中でMYD88変異が認められた唯一の症例は、眼窩リンパ腫の症例である。両眼瞼の腫脹で発症し、二回にわたる生検の結果、IgG4/IgG=約50%でIgG4関連疾患が背景にあり、濾胞間の異型B細胞がMALTリンパ腫と病理診断されている。しかし、この症例はIgM-κのM蛋白も指摘されていた。 これらの結果は2016年9月に開催された第56回日本リンパ網内系学会総会で発表した。
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