研究実績の概要 |
本研究の目的は、難治性喘息におけるTNF-LIGHTと窒素化ストレスのクロストークの有無や役割及びその制御機構の検討である。そこで昨年度及び当該年度にて、難治性喘息、コントロール良好喘息患者を対象に呼気NO測定、誘発喀痰中窒素化ストレス、TNF-LIGHT及び呼吸生理学的指標との関連の差異の比較検討を行い、各々の分子のクロストークの有無や役割を明らかにすることを計画した。具体的に、対象は3か月以上難治性喘息、コントロール良好な喘息患者で、測定項目はasthma control questionnaere(ACQ),スパイログラム、誘発喀痰の細胞成分及び上清成分とした。コントロール良好な喘息患者(7例)(A群)、難治性喘息患者(7例)(B群)を解析し、現在までのところ年齢(歳);58.6 vs 57.9, ACQ(点);6.1vs6.6, %FVC(%);89.1vs102.5, %FEV1(%);63.6 vs 96.3, FENO(ppb) 28.7 vs 21.2, 誘発喀痰;細胞数((10×10*6);2.21vs1.09,マクロファージ数(%);38.6vs55.3, リンパ球数(%);0.4vs 0, 好中球数(%);50.0vs43.5, 好酸球数(%);12.2 vs 3.9 という結果を得ている。 誘発喀痰中のニトロチロシン陽性細胞(%)は、37.3 vs 19.5で、難治性喘息群にて、ニトロチロシン陽性細胞の有意な増加を認めた(p<0.05)。TNF-LIGHT陽性細胞は、11.1 vs 6.7 と難治性喘息群で増加傾向であった。 またニトロチロシン陽性細胞はTNF-LIGHT陽性細胞と有意な正の相関を示した。更にニトロチロシン陽性細胞は%FEV1と、TNF-LIGHT陽性細胞は、%FVCと各々有意な負の相関を示した。以上から難治性喘息において、窒素化ストレス及びTNF-LIGHTはクロストークしており、各々が、呼吸機能悪化に寄与することが示唆された。(各々A群 vs B群)
|