研究実績の概要 |
本研究の目的は、喘息におけるTNF-LIGHT(以下LIGHT)と窒素化ストレスのクロストークの有無や役割を明らかにし、喘息難治化の機序及びその制御機構を検討することである。 通常治療にも関わらず閉塞性障害が残存する喘息(%FEV1<80%;A群)と呼吸機能良好喘息(%FEV1>;80%;B群)を対象に呼気NO測定、誘発喀痰中LIGHT、窒素化ストレス陽性細胞を測定し、呼吸生理学的指標との関連について比較検討を行った。 その結果、A群は7名(平均59歳, 同FEV1=1.84L, 同%FEV1=63.6%)、B群9名(同60歳, 同FEV1=2.82L, 同%FEV1=99.9%)を登録した。呼気NOの平均値については両群に有意差はみられなかった(28.6ppb versus 25.4ppb, n.s.)。A群のLIGHT陽性細胞の発現率は、B群のものと比較して有意に増強しており(15.3% versus 6.6%,p<0.05)、その発現程度は、%FEV1と有意な負の相関を示した(r=-0.54,p<0.05)。同様にA群のニトロチロシン陽性細胞の発現率は、B群のものと比較して有意に増加しており(37.3% versus 20.9%,p<0.05)、その発現程度は、LIGHT発現と有意な正の相関を示した(r=0.57,p<0.05)。 以上からLIGHTと窒素化ストレスにはクロストークが存在し、喘息の固定性の気道狭小化(=気道リモデリング)に関連する可能性があるとの結論を得て、LIGHTと窒素化ストレスにはクロストークが難治性喘息の治療標的であると推察された。
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