研究課題
基盤研究(C)
本研究は、抗TIM-4抗体の抗炎症作用機序とTIM-4分子の病理的機能を明らかにするとともに、将来の臨床研究に向けた基盤を構築するため、主に以下の4点について研究を進めている。1)抗TIM-4抗体の抗炎症作用のメカニズムの解明 2)各種免疫疾患モデルマウスに対する抗TIM-4抗体投与の治癒効果の検討 3)可溶型soluble TIM-4 (sTIM-4)の遊離メカニズムの解明 4)抗ヒトTIM-4抗体の作製と患者検体のsTIM-4検出このうち1)抗TIM-4抗体の抗炎症作用のメカニズムについて、関節炎モデルマウスのコラーゲン誘導関節炎マウスとコラーゲン抗体誘導関節炎マウスを用いて以下のことを明らかにした。抗TIM-4抗体はT細胞、B細胞には作用せず、マクロファージから分泌される炎症性サイトカイン(IL-6, TNF-α, IL-1β)の産生抑制に働き、破骨細胞の分化成熟と骨破壊機能をも抑制させた。以前、山西らを中心に、TIM-4はペア型免疫グロブリン様レセプターであるLMIR5と結合する事を報告したが、機能・役割は不明であった。これらのマクロファージと破骨細胞はともにLMIR5を細胞表面に発現しており、関節炎においてLMIR5に何らかの作用で遊離型となったsTIM-4が結合して炎症性サイトカインの産生を増強、破骨細胞の活性化・骨破壊能を高める効果を持つものと推測している。さらなる詳細を現在、解析中である。2)3)については、喘息モデルマウスに対する抗TIM-4抗体の効果検討を行っており、またsTIM-4遊離メカニズムについても解析は進んでいる。4)ヒトTIM-4に対し、異なる部位に結合する2種類以上の抗体(クローン)が未だ得られず、現在、引き続き抗体作製を行っている。
3: やや遅れている
抗TIM-4抗体の抗炎症作用のメカニズムを明らかにする研究・実験は順調に進んでいるが、抗ヒトTIM-4抗体の作製と患者検体からのsTIM-4の検出が進んでいない。患者検体からsTIM-4を検出するには、ヒトTIM-4に結合する部位が異なる2つの抗TIM-4抗体を使ってELISAを確立する必要があるが、現在、1種類の抗体しか作製に成功していない。免疫の方法やアジュバンドの変更、免疫原であるヒトTIM-4の精製度を上げる等で対応している。
引き続き、卵白アルブミン誘発性喘息マウスや肺炎症のモデルマウスにおける抗TIM-4抗体投与の治療効果の確認と、抗TIM-4抗体の作用メカニズムの詳細を明かにする。また、抗ヒトTIM-4抗体を作製して、sTIM-4を検出することができるELISAを確立させ、リウマチ患者や喘息患者の血中・尿中からsTIM-4の検出を試みて疾患との相関を検討する。
抗ヒトTIM-4抗体の作製が完了しなかった為、その先の実験に進むことが出来なかった為。また未知のTIM-4レセプターを見つけるために必要な、有用なL5178Y細胞cDNAライブラリーが作製出来なかった為。抗ヒトTIM-4抗体の作製は継続して行っており、有効な抗体が出来次第、可溶型ヒトTIM-4を測定することが可能なELISAを確立して、リウマチ患者や喘息患者の血中・尿中からsTIM-4の検出を試みる研究に使用する。さらに有用なL5178Y細胞cDNAライブラリーを作製して、TIM-4が結合する未知のレセプターを同定する実験に使用する。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)
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