研究課題
本研究は近年増加傾向にある非結核性抗酸菌症における特殊な病態である、抗インターフェロンガンマ中和自己抗体を保持し播種性病態を呈する症例に関して、その抗体の検出法の確立と臨床背景を明らかにすることを目的として計画された。昨年までに確立した、患者血清における外来性インターフェロンガンマに対しての中和能の測定法とELISAによるIgG分画の抗体定量法を用いて、症例検体の抗体測定を継続した。現在までに26例の抗体陽性例を同定した。全例が播種性非結核性抗酸菌症を呈しており、その罹患部位は呼吸器以外にも、骨、筋肉、リンパ節など多岐に及んでいた。全例に対して従来の多剤併用抗菌化学療法が施行されており、その期間は長期に及んでいた。治療経過が追跡し得た例においては、非結核性抗酸菌症の病勢に応じて抗体価は増減する傾向があり、病勢を反映するマーカーとしても有用性が示唆された。死亡例は1例のみであったが、その症例は治療の自己中断例であることから、抗菌化学療法による介入は有効であると考えられた。しかし、病勢のコントロールに難渋する例も散見され、それらにはインターフェロンガンマの投与や、海外に於いて有用性が示唆されている抗CD20抗体であるRituximabが使用されていた。健常者においても微量の抗体を保持する例が見出されたが、健常者の抗体を用いた中和能の検討では、インターフェロンに対しての中和能を認めず、保持する抗体のキャラクターが播種性非結核性抗酸菌症を発症する例とは異なる可能性が示唆された。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件) 学会発表 (1件)
J Infect Chemother.
巻: 21 ページ: 468-72
10.1016/j.jiac.2015.02.003.
J Clin Microbiol.
巻: 53 ページ: 1436-8
10.1128/JCM.03339-14.
結核
巻: 90 ページ: 561-564