研究概要 |
CHIKV感染性評価系として、CHIKV膜蛋白質を持つマウスレトロウイルスシュードタイプを作製しその感染性について検討した。EGFP遺伝子が挿入されたマウスレトロウイルスベクタープラスミド、マウスレトロウイルスgag-pol発現プラスミド、及びCHIKV-膜蛋白質遺伝子発現プラスミドの3種類のプラスミドDNAを293T細胞にコトランスフェクションすることで、CHIKV膜蛋白質を被ったレトロウイルスシュードタイプを作出した。このCHIKV膜蛋白質を被ったシュードタイプウイルスの感染力価は、もっとも感受性の高い培養細胞株において約1,000,000 IU/ml、もっとも感受性の低い細胞株においては20 IU/ml以下であり、標的細胞株間でその感染性に10,000以上の差が観察された。またこれらシュードタイプウイルスの感染は抗CHIKVウサギ血清で中和されCHIKV膜蛋白質を介して成立すると考えられた。 CHIKV感染受容体及び感染関連細胞性因子の同定のため、上記のCHIKVシュードタイプウイルス感染に最も高感受性であった細胞株のmRNAから合成されたcDNAライブラリーが導入されたレトロウイルスベクタープラスミドライブラリーと、レトロウイルスgag-pol発現ベクター、並びに水疱性口内炎ウイルス膜蛋白質遺伝子とを293T細胞株にコトランスフェクトすることで、cDNAライブラリーを発現するレトロウイルスベクターを作出した。これらcDNAライブラリー発現レトロウイルスベクターをCHIKV抵抗性または低感受性であると考えられたT細胞由来の細胞株に感染させ、レトロウイルスベクターの持つ薬剤耐性遺伝子(puromycin)を指標に選抜を行い、cDNA発現細胞ライブラリーを作出した。現在これらの細胞ライブラリーからCHIKV感受性の亢進した細胞の選抜を試みている。
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