研究課題/領域番号 |
25461515
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
泉川 公一 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (20404212)
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研究分担者 |
宮崎 泰可 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 講師 (60448496)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | アスペルギルス / 薬剤耐性 / 病原性 / CYP51A / カルシニューリン / MUC5AC |
研究実績の概要 |
本研究は、アスペルギルスの薬剤耐性機序の解明と耐性獲得阻止法の開発、ならびに病原因子の制御による新治療戦略の開発を行うことを目的としている。 ①臨床分離アスペルギルス株(アゾール系抗真菌薬感受性株、耐性株)の病原性確認とアゾール系抗真菌薬に対するin vivoでの感受性検討、②in vivo、in vitroにおける耐性化誘導能に関する検討、③耐性化の機序解明と耐性化抑制に関する検討を行った。 ①同一患者より分離された遺伝子学的に同一なアゾール系抗真菌薬の耐性株、感受性株を用いて、侵襲性肺アスペルギルス感染マウスモデルに感染させた。イトラコナゾールを種々の濃度で吸入させて治療した場合、低濃度では感受性株で耐性株に比較して、マウスの生存率が向上したが、高濃度の吸入では、耐性株も感受性株と同様に、マウスの生存率が向上し、イトリゾールへの感受性次第では、吸入治療も効果があることを確認できた。 ②③慢性肺アスペルギルス症マウスモデルについて、非結核性抗酸菌を先行感染させ、その後にアスペルギルスを感染させる共感染モデルを作成し、非結核性抗酸菌症が先行すると、アスペルギルスがより長期間感染することが確認された。一方、in vitroにおいて、低濃度のアゾール系抗真菌薬をアスペルギルスに暴露し続けると薬剤に対する感受性が低下することは確認できた。メカニズムの解析のために、アゾール系抗真菌薬の標的部位であるCYP51Aの変異を確認しところ、遺伝子変異は認められず、薬剤排出ポンプの発現について解析を行っている。また、in vitroで気管支上皮細胞であるH292細胞を用いて、アスペルギルスのムチンMUC5AC産生能とマクロライド系薬による産生抑制の可能性(病原性コントロール)について実験を行い、マクロライド系薬がムチン産生を抑制することをELISA法で確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①臨床分離アスペルギルス株(アゾール系抗真菌薬感受性株、耐性株)の病原性確認とアゾール系抗真菌薬に対するin vivoでの感受性検討については、概ね順調に進展している。 ②in vitroにおける耐性化誘導能に関する検討は進展があるが、in vivoでの検討は遅れている ③耐性化の機序解明と耐性化抑制に関する検討についてはやや遅れているが、MUC5ACの病原性についての研究は進展している。 上記から、総合的に、概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
①臨床分離アスペルギルス株(アゾール系抗真菌薬感受性株、耐性株)の病原性確認とアゾール系抗真菌薬に対するin vivoでの感受性検討は他剤の検討も開始する ②in vivo、in vitroにおける耐性化誘導能に関する検討 ③耐性化の機序解明と耐性化抑制に関する検討 ④MUC5ACの解析をさらに進める。 また、カルシュニューリンの解析についても開始する。
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