研究課題
基盤研究(C)
接合菌症(ムーコル症)は、血液疾患などの高度免疫抑制患者に発症する深在性真菌症である。その頻度は近年増加傾向と報告されている。その治療薬として、わが国では未発売のポサコナゾールとアムホテリシンB製剤のみが有効であるが、その予後は極めて不良で初期の抗真菌薬選択が重要となる。その診断は、培養による真菌学的検査と侵襲的な検査を伴う病理組織学的検査に限られ、補助診断としての血清学的検査は実用化していない。我々は、早期診断に有用と考えられる血清診断法の開発研究を試みた。真菌研究における新しいアプローチであるシグナルシークエンストラップ法を利用して得られた接合菌(Rhizopus oryzae)の未知の抗原蛋白(候補A抗原;26kDa蛋白)を検出するELISAキットを作成した。前年度までの研究として得られた研究成果(真菌の培養上清および感染マウス血清中に候補A抗原を検出)を経て、今回は血液疾患患者血清を用いてその評価を試みた。その結果、研究期間中にR. oryzae肺感染症患者は1症例のみであった。肺アスペルギルス症患者(Probable~possible:6症例)および健常人(5症例)をコントロールとした。候補A抗原は、R. oryzae肺感染症患者の血清および肺胞洗浄液中には、健常人やアスペルギルス症患者と比較してやや高い値が得られた。
3: やや遅れている
昨年4月に長崎大学より大阪市立大学に転勤となった。そのため、研究環境を整えるのに時間がかかった。本研究は、血液内科領域を中心とした深在性真菌症を疑う患者において血清中の真菌抗原を検出する新規診断キットの開発への取り組みであるが、倫理委員会への書類の作成や承認までに時間がかかり、研究のスタートが遅くなった。また、接合菌症(ムーコル症)の診断確定患者は、非常に稀であるため、診断キットの有用性の確認に症例数を集めることが課題となっている。
新規診断キット(ELISA)の感度や特異度を上げるため、共同研究者とも連携をはかり、改良を試みる。また評価する患者検体を集めるためには、さらに院内の症例の診断に関わることが重要と考える。それには診断確定のための積極的な検査を行う必要があり、血液内科とも連携して研究を推進する。さらに、感染動物実験も計画している。
昨年4月に長崎大学より大阪市立大学に転勤となったため、研究環境を整えるのに時間が必要であった。本研究は、血液内科領域の患者で深在性真菌症を疑う患者の血清真菌抗原を検出する新規診断キットの開発への取り組みであるが、倫理委員会への書類の作成や承認までに時間がかかり、研究のスタートが遅くなった。新規診断キット(ELISA)の感度や特異度を上げるため、共同研究者とも連携をはかり、改良を試みる。また検査キットを評価する臨床検体を集めるためには、さらに院内の症例の診断に関わることが重要と考える。感染動物実験も計画する。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)
PLoS One.
巻: 14 ページ: e91293
1371/journal.pone.0091293.
Intern Med.
巻: Accept済 ページ: Accept済