現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度である平成25年度に作成した21種類のウイルスと9種類の細菌の検出が可能な肺炎迅速鑑別診断用のTaqManマルチプレックス・リアルタイムPCR法の系と、薬剤耐性判定のためのHRM解析法 およびサイクリングプローブ法の系を用いたサーベイランスを次年度である本年度も継続し、地域医療における臨床診断業務に寄与すると同時に、病原体サーベイランスと遺伝子配列情報の解析を継続した。今年度末までに長崎県諫早市にある日 本赤十字社長崎原爆諫早病院(諫早日赤)において呼吸器感染症患者からの936検体を検査し、同時に長崎大学小児科と連携し長崎県諫早市内の小児科医院を受診した上気道炎・肺炎患児からインフォームドコンセントのもと臨床検体(鼻咽頭ぬぐい液)の提供を受け、536検体の原因微生物につい て検査を行った。現在これらの結果を解析しまとめを行っている。また、サイクリングプローブ法を用いてマイコプラズマの薬剤耐性を迅速に検出する系を作成し、リアルタイムPCR法による診断と合わせて臨床応用を行っている。 結核性肺炎に関しては、主要抗結核薬6種類(RFP, INH, SM, EMB, FLQ, PZA)の耐性に関わる計11の遺伝子領域(rpoB, embB, rpsL, rrs, ahpC, katG, inhA, kasA, gyrA, gyrB, pncA)の配列をダイレクトDNAシーケンシング法で決定し、得られた配列を結核菌薬剤耐性遺伝子変異のデータベースと照合することで結核菌の薬剤耐性の有無を予測し、得られた結果は迅速に依頼を受けた医療機関に返送するとともにデータベース化を行うシステムを確立した。年度末までに結核感染者からの79臨床検体と16の培養結核菌から抽出したDNAを用いて判定を行った。次年度も本サーベイランスを継続し、データベースをさらに充実させていく。
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