研究課題
本研究は、慢性難治性呼吸器感染症である肺Mycobacterium avium complex(MAC)症の患者検体を用いて、肺MAC症関連microRNA(miRNA)を探索し、肺MAC症の病態解明、更には、疾患活動性評価のためのバイオマーカー、及び新規治療標的の探索を目的とする。平成25年度に抽出できた19個の肺MAC症関連miRNAからさらに候補を絞り込むため、慶應義塾大学医学部倫理委員会承認の下(承認番号:20130134)、排菌量と画像所見から疾患活動性が低いと判断された無治療肺MAC症患者(MAC軽症例群)4名、疾患活動性が高いと判断された無治療肺MAC症患者(MAC重症例群)4名に加え、患者群と性別・年齢・BMIがマッチした健常者4名 の3群から採取した血清を用いて、独立した2回目の網羅的miRNA解析を東レ社3D-Gene® Human miRNAを使用し実施した。平成25年度、平成26年度に行った2回の網羅的miRNA解析で、健常者群に比べて患者群で統計学的に有意(p<0.05)に増加しているmiRNAを8個抽出し、これら8個のmiRNAが肺MAC症関連miRNAの候補と考えた。
3: やや遅れている
平成26年度の研究計画では、肺MAC症の患者血清を用いて、リアルタイムPCR法による肺MAC症関連miRNAの確認を予定していたが、再現性のある的確なmiRNA候補を抽出するため、独立した2回目の網羅的miRNA解析を実施することとした。臨床検体取得が予想以上に困難であり、時間を要したため、当初の計画より遅れてしまっているが、リアルタイムPCR法による測定の基礎検討はほぼ完了しており、また2回の解析を行うことで候補となるmiRNA数を絞り込むことができた。平成27年度上半期までには8個のMAC関連miRNAの候補をリアルタイムPCR法で定量し、MAC関連miRNAとして妥当かどうかを評価できると見込んでいる。
患者血清を用いたリアルタイムPCR法による肺MAC症関連miRNAの確認作業を完了させる。平成26年度以降の計画に従い、肺MAC症患者の疾患活動性と確認した肺MAC症関連miRNAの関連性を調べる。無治療肺MAC症患者の外来定期受診の際に採血、症状の確認、喀痰検査、胸部レントゲン検査を行なう。肺MAC症患者の臨床症状、排菌量、画像所見から推測される疾患活動性の経時的変化と血清中肺MAC症関連miRNA量の経時的変化との相関を見ることで、そのmiRNAが疾患活動性を評価するバイオマーカーとなりうるかを検討する。
臨床検体採取に時間を要し、更に、東レ社3D-Gene Human miRNAによる2回目の網羅的miRNA解析を行い、予定していたリアルタイムPCR法によるmiRNAの定量が遅れたため、予定支出額より実支出額が下回った。
次年度の研究費と合わせて消耗品購入に充てる予定である。
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