研究課題
CTX-M-8産生菌は、ブラジルをはじめとする南米に拡散している。本邦でも一般市民および臨床材料から分離された大腸菌からblaCTX-M-8が検出されている。輸入鶏肉の薬90%はブラジル産であること、肉鶏 (broiler)は高率にESBL産生大腸菌を保菌し、ESBL産生大腸菌が鶏肉を汚染していることから、ブラジル産鶏肉を対象にESBL産生大腸菌を分離した。その結果、鶏肉から分離されたESBL産生菌の約48%がblaCTX-M-8陽性であった。上述のブラジル産鶏肉由来、一般市民糞便由来、臨床材料由来大腸菌を対象として、大腸菌の全ゲノム解析を実施した。得られたゲノム配列をもとに、Multilocus sequence typingを実施したところ、ヒトおよびブラジル産鶏肉由来blaCTX-M-8陽性大腸菌のゲノムはそれぞれ異なっていた。一方、ブラジル産鶏肉由来ESBL産生大腸菌は、blaCTX-M-8以外にアミノ配糖体系薬やサルファ剤、トリメトプリム、テトラサイクリン系薬、クロラムフェニコールに対する耐性因子をコードする遺伝子を5~6種類保有していた。一方、ヒト由来ESBL産生大腸菌が保有するblaCTX-M-8以外の抗菌薬耐性に関与する遺伝子は、保有していないか最大で3種類とブラジル産鶏肉由来大腸菌のものと比較すると少なかった。これらの大腸菌は何れもIncI1のプラスミドを保有していた。臨床材料由来大腸菌が保有するプラスミドの全ゲノム解析を実施したところ、89,476bpのIncI1、pMLST113のプラスミドが検出された。このプラスミドは、伝達性を有しており、耐性因子をコードする遺伝子としてblaCTX-M-8のみを保有していた。このプラスミドをテンプレートとして他のプラスミドの塩基配列データをマッピングしたところ、同一起源のプラスミドが広く分布していることが判明した。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 3件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 5件)
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