研究課題
近年、北米太平洋岸を中心とした高病原性のCryptococcus gattii感染症のアウトブレイクが発生し、C. gattii感染症が注目されている。C. gattii感染症はC. neoformans感染症と違い、健常人での発病が多く認められる真菌症とされており、感染病態が異なるのではと考えられている。我々の検討の結果、C. neoformans株と高病原性C. gattii株では、感染に対するマウスモデルでの反応が異なっており、C. neoformans株は肺で炎症反応を惹起するのに対し、C. gattii株はほとんど炎症反応を惹起しないことが伺われた。この原因についてはまだ解明できていないが、生体での認識に違いがあるのではないかと推測している。一方、肺でのIFN-g以外のサイトカイン発現では、TNF-a、IL-12等の発現においても同様にH99よりもC. gattii株で少ない傾向が認められた。さらに、今回の検討から、C. gattii株における病原性は、従来から報告されている莢膜厚やメラニン産生能、ウレアーゼ活性などの病原因子には依存しないのではないかと推測された。また、マクロファージによる菌体貪食能の検討結果より、C. gattii株においては細胞に貪食されにくい、すなわち生体に認識されにくい事が病原性を反映しているのではないかと考えられた。一方、サイトカインを用いた感染治療公については、IFN-gによる治療効果はC. neoformans株に対しては認められた。
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