自閉症の脳機能障害機構の解明を目的に自閉症スペクトラムを呈する患者の網羅的遺伝子解析を試み、一部から特定の染色体に存在する遺伝子異常の可能性を見出した。しかしながら、多くの患者では有意な異常をみいださず、病態の理解にはむしろ自閉症になることが明らかな遺伝子異常を有する複数の疾患の脳機能を解析し、共通する機能障害をみいだすことが近道となりうると発想を転換した。代表的な遺伝性自閉症スペクトラムであるUBE3A機能欠失のモデルマウスを用いて、脳の特定の領域において抑制機能が特異的に減少していることを見出した。脳領域間の抑制機能のアンバランスが自閉性の原因の一つである可能性を提唱することができた。
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