Menkes病は銅トランスポーターATP7Aの遺伝子異常による希少疾患である。銅の吸収・体内送達ができず銅依存性酵素群の致死的機能不全を来す。治療にはヒスチジン銅が用いられるが、十分な効果が得られず、また、皮下注射を継続する負担も大きい。そこで、Menkes病モデルマウスであるmacularマウスを用いて脂溶性銅錯体Cu-gtsmの経口投与の効果を検討した。Cu-gtsmの経口投与により罹患マウスの生存例が得られ、脳組織の銅濃度の上昇、脳内の銅依存性酵素群の活性の上昇、血清中セルロプラスミン活性の上昇が認められたが、一方、運動能には拙劣さが残存した。さらに、投与時期・量の検討を行う必要がある。
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