研究課題/領域番号 |
25461535
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
藤原 幾磨 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10271909)
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研究分担者 |
菅野 潤子 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30509386)
箱田 明子 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70509398)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | GPIアンカー / HPMR症候群 / アルカリフォスファターゼ / 発達遅滞 |
研究概要 |
当該患者において血清アルカリフォスファターゼが異常高値であることから、当初HPMR症候群の原因とされるPIGV、PIGOの他に、アルカリフォスファターゼが上昇する可能性があると推測したPIGN、PIGBを含め、4つのGPIアンカー関連因子の遺伝子解析を直接シークエンス法で行った。しかし、いずれの遺伝子にも変異を認めなかった。そこで次世代シークエンサー(Illumina Hiseq 2000)を用いて患者DNAの全エクソンシークエンスを施行したところ、およそ10,000個の変異(非同義変異、ナンセンス変異、スプライス異常、挿入・欠失)を認めた。それらを変異データベース(dbSNP132、the 1000 Genome Project database、ESP 6500)と施設内データを用いてフィルタリングを行いさらに解析したところ、GPIアンカー関連因子の一つであるPIGL遺伝子に2つの変異を認めた。いずれの変異も、直接シークエンス法によって確認された。患者両親のPIGL遺伝子解析を行ったところ、これらの変異はそれぞれ患者父、母由来の変異であった。父由来の変異は各データベースには報告がなく、また母由来の変異は、日本人データベースに低頻度で認められる変異であった。以上の結果より、これらPIGL遺伝子変異が、常染色体劣性遺伝性であるHPMR症候群の疾患原因であることが推定された。 今後は、今回発見されたPIGL遺伝子変異の機能解析を行い、本遺伝子変異が疾患の原因であることを確定する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該患者の遺伝子解析は、次世代シークエンサーを用いて全エクソンシークエンスを施行した。その結果GPIアンカー関連因子の一つであるPIGL遺伝子に2つの変異を認め、それぞれ患者両親由来の変異であったため、疾患原因であることが推定された。平成25年度中に原因遺伝子を発見することができ、当初の研究計画通りに進展している。現在上記PIGL遺伝子変異について研究協力者と検討し、機能解析を行う方向で準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
1.今後、今回見つかったPIGL遺伝子変異の機能解析を行う。 1)Aerolysin処理したCHO細胞に、プラスミドを用いて正常PIGL遺伝子及び2つの変異PIGL遺伝子を導入し、FACScanにてそれぞれのCHO細胞の表面マーカー(CD59、CD55、CD16、FLAER)の発現を調べる。 2)上記変異PIGL遺伝子導入CHO細胞においてウェスタンブロットを行い、PIGL蛋白の発現を確認する。 3)上記変異PIGL遺伝子導入CHO細胞の培養を行い、その培養上清及び細胞破砕検体でのアルカリフォスファターゼ活性を測定する。 2.可能であれば、同様の症例で全エクソンシークエンスを行い、新たな疾患原因遺伝子の発見に努めたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
・直接シークエンス用のプライマーなどは、予定していたものより少量の購入で済んだため消耗品費が予定より少なくなった。 ・研究費のうち旅費として計画していた分を使用しなかった。 今後CHO細胞を用いた実験を進めていく。学会等で本研究結果について積極的に発表し、本研究の意義を広く知らせる。 また、同様の症例を集め、全エクソンシークエンスを施行して行く。 未使用金は平成26年度分と合わせて使用する。
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