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2014 年度 実施状況報告書

HPMR症候群(高アルカリフォスファターゼ血症-発達遅滞症候群)の原因遺伝子解析

研究課題

研究課題/領域番号 25461535
研究機関東北大学

研究代表者

藤原 幾磨  東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10271909)

研究分担者 菅野 潤子  東北大学, 大学病院, 講師 (30509386)
箱田 明子  東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70509398)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード高アルカリフォスファターゼ血症 / 発達遅滞 / Mabry症候群 / 全エクソンシークエンス
研究実績の概要

平成25年度には全エクソンシークエンスにより、当該患者のPIGL遺伝子に2つの変異(欠失)を認め(c.36_48del;c.254_255del)、それぞれ患者の父親、母親由来であることが判明した。
平成26年度は、まず患者の顆粒球の細胞表面におけるGPIアンカー蛋白の発現を、フローサイトメトリーで解析し、患者顆粒球ではDAF、FLAER、CD24、CD16などの発現が、正常と比較して低下していることが明らかになった。
次に、PIGLを喪失したCHO細胞に、野生型PIGL遺伝子および上記変異PIGL遺伝子をそれぞれ導入し、細胞表面GPIアンカー蛋白の発現をフローサイトメトリーで解析したところ、CD59、DAF、FLAERの発現は、いずれの変異遺伝子を導入した細胞でも野生型遺伝子導入細胞に比べて低下していた。このことから、患者のPIGL遺伝子の2つの変異は、GPIアンカー生合成異常の原因であることが示唆された。
上記CHO細胞溶解物を用い、PIGL蛋白のウェスタンブロット解析を行ったところ、c.254_255del変異導入細胞ではPIGL蛋白は検出されなかった一方、c.36_48del変異を導入した細胞では、短い微かなバンドを2本認めた。PIGL遺伝子の配列を確認したところ、下流に翻訳開始コドンになり得るメチオニンが2ヵ所あり、ウェスタンブロットで確認された2本のバンドは、それぞれのメチオニンを開始コドンとするPIGLのアイソフォームが形成されたものと考えられた。
以上の結果より、当該患者で認められたPIGL遺伝子の変異は、HPMR症候群(Mabry症候群)の原因であることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当該HPMR症候群患者において、全エクソンシークエンスによりPIGL遺伝子に2つの変異を認めた。さらに、変異遺伝子を導入したCHO細胞を用いて機能解析を行い、これらの変異がGPIアンカーの異常を来すことが判明し、当初の目的である、当該患者の原因遺伝子を明らかにすることができた。

今後の研究の推進方策

PIGL遺伝子の変異は、CHIME症候群の原因であるとの報告がある(Ng et al. Am J Hum Genet 2012)。HPMR症候群とCHIME症候群とでは、臨床徴候がかなり異なり、その理由は不明である。今後は、それぞれの症候群で報告されているPIGL遺伝子変異の機能解析を行い、臨床徴候が異なる理由を解明していく。
さらに、同様の徴候を示す患者を集積し、遺伝子解析を進めていく。

次年度使用額が生じた理由

遺伝子変異の機能解析が順調に進み、当初計画したよりも使用額が少なく済んだ。

次年度使用額の使用計画

今回の結果を学会等で積極的に発表し、本研究の意義を広く示すとともに、同様の症状を認める患者を集積し、遺伝子解析を進める。
そのための経費として、未使用金は平成27年度分と合わせて使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] Mutations in PIGL in a Patient with Mabry Syndrome2015

    • 著者名/発表者名
      Fujiwara I, Murakami Y, Niihori T, Kannno J, Hakoda A, Sakamoto O, Okamoto N, Funayama R, Nagashima T, Nakayama K, Kinoshita T, Kure S, Matsubara Y, Aoki Y
    • 雑誌名

      Am J Med Genet Part A

      巻: 167 ページ: 777-785

    • DOI

      10.1002/ajmg.a.36987

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり

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公開日: 2016-05-27  

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