研究課題/領域番号 |
25461538
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
大戸 達之 筑波大学, 医学医療系, 講師 (60344892)
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研究分担者 |
榎園 崇 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (30644314)
宮本 信也 筑波大学, 人間系, 教授 (60251005)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 発達障害 / 手指巧緻機能 / 評価ツール / 薬物療法 |
研究実績の概要 |
親指と人差し指によるタッピング動作の正常発達を確立するために、健常小児ボランティア110名(小学1年生から6年生:83から152か月)を検査し、機器の不具合や神経学的異常を呈した9名を除いた101名のデータを基に、月齢に応じた正常値を確立した。この正常値を踏まえて、今年度は発達障害3名に対して、指タッピング動作の測定を行った。症例1は注意欠陥多動症(ADHD)の8歳男児で、投薬はなされていない。両側同時タッピング回数および両側交互タッピング回数において、ほぼ正常平均の値が得られた。症例2は、自閉スペクトラム症(ASD)およびADHDの12歳女児で、アトモキセチンを内服している。両側同時タッピング回数ではほぼ正常範囲内であったが、両側交互タッピング回数は正常下限の値であった。症例3はADHDおよび境界域知能の10歳男児で、メチルフェニデート徐放剤を内服している。メチルフェニデート徐放剤を内服していない日は、タップ回数が両側同時、両側交互ともに大きく正常下限からはずれていたが、メチルフェニデート徐放剤内服時はほぼ正常下限まで値が上昇した。またタッピングインターバルの標準偏差も減少したことから、タッピングリズムのバラツキが減少し、よりスムーズに指をタッピング出来るようになったことが示された。 この事から、本システムは発達障害児の手指巧緻機能(不器用さ)のひとつを数値化して評価することが可能で、薬物療法やリハビリテーションの効果を簡便かつ正確に評価するツールとして機能することが示唆された。今後は、症例数を増やし、詳細に検討することを予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者の実母が癌に罹患し、その介護のため所定労働時間以外の時間に制限がかかり、症例数を増やすことが出来なかった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度、当院に通院されている発達障害児に関して検討を予定しており、症例数の増加は見込まれている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の実母が癌に罹患し、その介護のため所定労働時間以外の時間に制限がかかったため(延長手続き承認済み)
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次年度使用額の使用計画 |
症例数を増やして検討する費用に充当し、平成28年度中に研究結果を論文化する予定である。
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