本研究は、磁気センサ型指タッピング装置を用いて注意欠陥/多動性障害(以下AD/HD)など発達障害児の指巧緻運動を定量的に計測し、新たな治療法を開発することを目的とした。まず、定型発達小児(101名:6~12歳)の計測を行い、指巧緻機能の正常発達(標準値)を定めた(タッピング回数や流暢さは年齢に応じて上昇することが認められた)。AD/HDをもつ小児10例においては、治療薬であるメチリフェニデート徐放剤の内服が無い場合、標準値から逸脱している児がいるものの、治療薬内服により標準値内に改善される傾向が認められた。本法は治療効果を定量評価し、新しい治療戦略の指標になる得ることが示された。
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