研究課題/領域番号 |
25461539
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
三牧 正和 帝京大学, 医学部, 准教授 (40392419)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ミトコンドリア異常症 / ミトコンドリアDNA / 呼吸鎖複合体 |
研究実績の概要 |
ミトコンドリア呼吸鎖は大分子複合体であり、そのタンパク複合体を維持したまま解析することが課題であったが、Blue Native 電気泳動(BN-PAGE) では呼吸鎖複合体を分解することなく泳動することができる。26年度はミトコンドリア異常症が疑われている多数の患者の初代培養細胞 (皮膚線維芽細胞あるいは筋芽細胞) からミトコンドリアを抽出し、BN-PAGEに引き続くイムノブロット解析により呼吸鎖複合体の量と大きさの異常を検討した。その結果、複数の未診断患者において呼吸鎖異常症が明らかとなり診断に至った。例えば、ミトコンドリアDNAにコードされた複数の呼吸鎖複合体のタンパク量が著明に低下した患者をBN-PAGEにより見出し、ミトコンドリアDNA解析を行ったところ多重欠失が明らかとなり、ミトコンドリアDNAのポリメラーゼ異常を疑ってPOLG遺伝子異常を検出することができた。POLG関連疾患は本邦では極めてまれであるため、核遺伝子異常によって引き起こされたミトコンドリアDNAの多重欠失が病因となっている本例について、平成27年の小児神経学会で発表する予定であり、現在論文発表準備中である。また、複合体Iのアセンブリーファクターの一つと考えられていたFOXRED1の遺伝子異常を有する患者細胞に対してBN-PAGEを用いた詳細な解析を行い、複合体Iのbiogenesisにどのように影響を与えているかを明らかにして論文発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究において最も重要な実験系の一つであるBlue Native 電気泳動(BN-PAGE) と、それに引き続きSDS-PAGEを行う二次元電気泳動につき、多数の患者細胞を用いた解析を進めることができている。その結果、実際に未診断例の診断を実現している。また、ミトコンドリア呼吸鎖複合体のアセンブリーに関わる核性因子の解析も成果を上げている。
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今後の研究の推進方策 |
さらに多数のミトコンドリア異常症疑い患者の解析を行うために、他施設と連携した診断システムの構築を目指している。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度(平成26年度)途中に研究代表者が東京大学から帝京大学に異動したため、研究体制の再整備に時間を要した。患者検体の収集作業に注力し、費用のかかる研究内容について次年度(平成27年度)に実施することとしたため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度に予定していた患者検体の解析を、平成27年度に計画していた解析とあわせて遂行するため、研究規模の縮小は行っていない。もともと想定していた費用を、次年度の研究に投じる計画である。
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