研究課題/領域番号 |
25461540
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
相原 正男 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (30242639)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 発達障害 / 認知機能 / 情動機能 / 実行機能 / 前頭葉機能 / 瞳孔計 / 光トポグラフィー |
研究概要 |
本研究の目的は、実行機能を必要とする神経心理学的課題で認知・情動処理系を神経生理学的に同時計測することで、両者の相互作用と意思決定に関わる情報処理発達過程と臨界期を健常児において定量化することにある。さらに、発達障害の神経生理学的障害パターンを生物学的マーカーとして応用することで診断と治療に対する評価基準の確立を最終目標としている。 平成25年度は、健常児(5-15 歳)と成人を対象に、実行機能を必要とする神経心理学的課題であるウィスコンシン・カード分類テスト遂行時の認知・情動処理系を神経生理学的に同時計測した。実際に行った認知検査は近赤外線スペクトロスコピー(ETG-4000、日立メディコ)、情動検査は情動性自律反応として交感神経皮膚反応(SSR)(Neuropack 8)に加え瞳孔反応計測装置(アイマークレコーダーEMR-9、NAC)を同時記録した。特にウィスコンシン・カード分類テストにおいて、概念を変換する(cognitive shift)時の認知と情動機能の働きを中心に検討した。 Cognitive shift時の瞳孔計の成人における変化率は、他の検査遂行時に比較して散大率が大きく、近赤外線スペクトロスコピーもオキシヘモグロビンが上昇していた。小児においては年齢とともに瞳孔計の散大傾向が認められ、15歳頃成人パターンとなった。 実行機能遂行には、認知と情動機能の相互作用が確認され、特にcognitive shift時には覚醒状態の上昇その持続が情動処理系の賦活化により確認された。今後、発達障害の病態生理と治療判定に応用していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
神経心理学的検査をデジタル化して(AV タキストスコープ)、既存の脳波(Neurofax)と解析プログラム(EPLYZERII)に接続可能なシステムを構築する実験系が確立した。 このシステム構築から、課題遂行時の瞳孔反応計測装置と光トポグラフィへの接続が可能となり、認知機能と情動機能の相互関係の測定が可能となった。 さらに、成人、健常小児の検討を行い、発達的な定量化が行えた。
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今後の研究の推進方策 |
発達障害児を実行機能対象に、実行機能を施行して認知と情動の脳機能結合の特徴(情動機能の脱抑制あるいは低下を作業仮説にしている)を神経生理学的に明らかにする。特に集団生活が困難な発達障害児(行為障害)を対象に、意識閾値下で視覚刺激を施行して情動と認知機能の乖離を認知神経科学的に実証する。さらに、薬物治療前後におけSSR、瞳孔反応、脳内ヘモグロインの有意差検定を行い(SPSS)、治療効果の判定基準を確立する。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験システムを構築する際、既存の機器で代用できたシステム箇所があり、物品費が安く見積もれたためである。 現在の実験システムに追加する部品に充てる予定であり、次年度経費と合わせ使用する予定。
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