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2016 年度 実績報告書

発達障害の認知・情動機能の相互作用と意思決定に関する認知神経科学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 25461540
研究機関山梨大学

研究代表者

相原 正男  山梨大学, 総合研究部, 教授 (30242639)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワード発達障害 / 意思決定 / 前頭葉機能 / 情動反応 / 瞳孔計 / 長期報酬
研究実績の概要

発達障害は前頭葉の機能障害であることが明らかにされてきたが、認知神経科学的立場から認知・情動処理系の相互作用と意思決定(decision-making)に関わる神経機構の発達は明らかとなっていない。とくに、ADHDや併存障害では認知と情動機能の乖離例が多く認められるため、エビデンスに基づいた治療法が確立していない。そこで本研究では遅延報酬課題遂行中の情報処理過程において、情動性自律反応が関与するか評価することを目的とした。
Markov decision task (MDT)は強化学習課題として知られており、長期報酬を得る行動則を探索的に学習する過程における情動性自律反応の役割について、健常成人を対象として検討した。全被験者の長期報酬課題成績の平均値はセット1が-5±29.8、セット2が25±80.5、セット3が87.5±55.0と上昇しており(ANOVA p < 0.05)、Tukey法を用いた下位検定ではセット1と3の間に有意な差を認めた(p < 0.05)。全被験者を対象として、提示課題の種類毎に平均瞳孔径積分値を算出すると、セット1での大加点期待時と大減点リスク時の間に有意差を認め、大加点期待時に散瞳を認めた。また、セット3で理論上の最高得点を獲得した3例では、獲得得点呈示後の平均瞳孔径積分値とセット終了時の最終得点がグラフ推移上、平行に推移している傾向を認めた。
本研究によって、健常成人では長期報酬課題施行中の認知機能に情動機能が重要な役割を果たしていることが示された。今後、本実験の対象を小児に拡大し発達的変化について検討を行ったうえで、ADHD児の病態評価としての有用性を検討してゆく予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Developmental changes in autonomic emotional responses during an executive functional task: a pupillometric study during Wisconsin card sorting test.2017

    • 著者名/発表者名
      Ohyama T, Kaga Y, Goto Y, Aoyagi K, Ishii S, Kanemura H, Sugita K, Aihara M.
    • 雑誌名

      Brain Dev

      巻: 39 ページ: 187-195

    • DOI

      http://dx.doi.prg/10.1016/j.braindev.2016.10.002

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Disinhibition in children with ADHD: Changes in [oxy-Hb] on near-infrared spectorscopy during "rock, papaer, scissors" task2017

    • 著者名/発表者名
      Ishii S, Kaga Y, Tando T, Aoyagi K, Sano F, Kanemura H, Sugita K, Aihara M
    • 雑誌名

      Brain Dev

      巻: 39 ページ: 395-402

    • DOI

      http://dx.doi.prg/10.1016/j.braindev.2016.12.005

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 小児期の前頭葉の機能的・形態的発達の不思議2016

    • 著者名/発表者名
      相原正男
    • 学会等名
      第46回日本臨床神経生理学会学術集会
    • 発表場所
      ホテルハマツ(福島県・郡山市)
    • 年月日
      2016-10-27 – 2016-10-29
    • 招待講演
  • [学会発表] 認知神経科学よりみた社会脳の発達とその障害 -発達障害を理解するために-2016

    • 著者名/発表者名
      相原正男
    • 学会等名
      第15回日本自閉症スペクトラム学会
    • 発表場所
      白百合女子大学講堂(東京都・世田谷区)
    • 年月日
      2016-08-27 – 2016-08-28
    • 招待講演
  • [学会発表] 社会脳の発達2016

    • 著者名/発表者名
      相原正男
    • 学会等名
      第21回認知神経科学会学術集会
    • 発表場所
      東京大学武田ホール(東京都・文京区)
    • 年月日
      2016-08-05 – 2016-08-06
    • 招待講演
  • [図書] Neurodevelopmental disorders and the frontal lobes2017

    • 著者名/発表者名
      Aihara M
    • 総ページ数
      300
    • 出版者
      Elsevier

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公開日: 2018-01-16  

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