研究課題
West症候群は群発するスパズムとヒプスアリスミアを特徴とし、しばしば発達の停滞、退行を伴うてんかん性脳症である。このうち発症前に神経学的異常が無く、画像検査、生化学で異常を認めない潜因性West症候群の患者は全体の1~3割程度とされており、発症の原因および機序の同定に至っていない。潜因性West症候群の家系内発症例の遺伝的要因を検索するため、2家系において次世代シークエンス解析を施行した。家系1は兄弟発症の家系で、父・母・同胞の3名を含む5名の血液検体を用いて、次世代シークエンス解析を行った。10万以上のSNV(single nucleotide polymorphism)のうち、チャネル関連遺伝子、てんかん関連遺伝子を含む325遺伝子パネルを作成し、エクソン上の蛋白変化を伴う変異について、発症者に共通する突然変異、ホモ接合変異、compound hetero変異、X-linked変異を検索した。このうちでデータベース上の頻度の低いX-linked のSNVを認めた。家系2は母子発症の家系で、発症児の父・同胞の2名を含む4名の血液検体を用いて、同じく次世代シークエンス解析を行った。発症者に共通したエクソン上の塩基変化を伴う変異のうち、公開されているヒトゲノムデータベースで頻度の高い変異を除外し、中枢神経系との関連が考慮される5つの遺伝子を候補とした。このうちの1つであるLGI2は、子犬のてんかん原因遺伝子として報告がある。1遺伝子について他施設の患者データとの連携を検討している。West症候群は年齢依存性のてんかん症候群で、幼少期のみにその症状を認めることから、ヒトにおいて未報告であるものの、本家系の原因遺伝子として考えられる。
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Am J Neuroradiol
巻: 37 ページ: 698-705
10.3174/ajnr.A4589