研究課題/領域番号 |
25461544
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
三善 陽子 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40457023)
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研究分担者 |
筒井 建紀 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00294075)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 妊孕性温存 / 小児がん / 晩期合併症 / 性腺機能異常 / 妊孕性低下 / 卵巣予備能 |
研究概要 |
小児がんの治療後におこる晩期合併症の中で内分泌学的異常は主要な位置を占めており、なかでも性腺機能低下症・妊孕性低下は重要な問題である。本研究は小児がん患者の性腺機能障害の進行と治療後の回復ついての評価をおこない、小児がん経験者の性腺機能低下症と妊孕性低下の現状を把握し、がんの治療による性腺機能障害の低減を目標とする。 初年度の平成25年度は以下の研究を行った。 1)当院で治療をおこなった小児がん患者のうち、これまでのエントリー期間に来院しなかった患者、長期フォローアップ外来に未紹介など本研究に未参加の症例に関して、同意を得た上で血清AMHの測定を含む内分泌学的評価を行い、症例数を増やして性腺機能障害の現状を後方視的に検討した。がんの治療の進行と共に性腺機能異常が進行し、血清AMHレベルが低下することを示した。 2)新規診断の小児がん患者に対する前方視的解析として、がんの治療開始前、治療中、造血幹細胞移植後、治療終了後、治療後3カ月毎に、身体所見の評価と同時に血清AMHおよびゴナドトロピン、性ホルモンを経時的に評価した。がんの治療開始により血清AMHは急速に低下したが、治療強度の違いにより治療後の回復状況が異なった。 3)がん患者の生殖医療に関して国内で最先端の研究をおこなっている研究者らで構成する<がん生殖医療研究会>に理事として参加し、国内の複数の医療機関の産婦人科、泌尿器科、乳腺外科、不妊カウンセラー、看護師等との連携を深め、情報交換を行った。がんと生殖に関するシンポジウム2013-妊孕性温存の診療を考える-(2013.04.21)において小児・思春期腫瘍と生殖について講演し、2014年2月<がんと生殖に関するシンポジウム2014~血液疾患患者さんの妊孕性温存対策のこれからを考える~>を開催した。「がん・生殖医療 妊孕生温存の診療」(医歯薬出版株式会社)を分担執筆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は、小児がん患者の性腺機能低下症と妊孕性低下の現状を把握し、がんの治療過程において性腺機能を経時的に評価することにより、がんの治療と性腺機能異常との関連性を検討した。現在までに初年度の目的はほぼ順調に達成されている。当初計画した初年度の計画において、血清AMHの後方視的解析の症例数追加、がんの治療開始時からの前方視的解析をおこない、他の診療科との連携をすすめており、ほぼ予定通り計画を実施している。血清のインヒビン測定に関しては、国内で検査キットが入手困難となったため今年度実施していない。
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今後の研究の推進方策 |
初年度は当初の計画通りに研究を遂行し、小児がん患者の治療に伴う性腺機能低下に関する前方視的および後方視的検討を行った。次年度はこれらの研究を引き続きおこない、がんの治療内容(治療メニュー)との相関性の解析をすすめる。また、がん生殖医療研究会の一員として、国内で若年がん患者の生殖医療に関わるがん専門医、産婦人科専門医、泌尿器科専門医、乳腺外科医、看護師、不妊カウンセラー等との情報交換、共同研究をおこない、医療者および患者への啓蒙活動を行う予定である。小児内分泌学会CCS委員会のメンバーとしての活動を継続し、がんの治療中の内分泌管理(性腺機能)に関するガイドラインを作成する。本研究はCCSにむけた生殖医療ガイドラインの作成と、CCSのための生殖医療ネットワークの形成を最終目標とする。
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次年度の研究費の使用計画 |
インヒビンの測定キットが国内販売中止となり購入不可能となった。フリーザーの購入を延期した。 検査キットの購入、外注検査代、備品購入
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