研究課題
小児がん治療後には様々な晩期合併症のリスクがある。とりわけ内分泌異常の頻度が高く、妊孕性低下は長期フォローアップにおいて重要な問題となる。本研究課題の目標は小児がん経験者の性線機能と妊孕性を適切に評価して生殖補助医療を含む関連診療科へ円滑に紹介し、がん治療前から妊孕性維持に取り組むことである。最終年度の平成28年度は総括として以下の研究をおこなった。1)小児がん経験者の女児の性線機能評価において、血清抗ミュラー管ホルモン(AMH)が有用であることを明らかにした。長期フォローアップガイドラインに示されるFSHや月経では見落としがあることを、当科症例データを増やして示した。またAMHの検査方法変更による検出感度上昇を、臨床症状(乳房発育、月経)から示される卵巣予備能残存と合致することを、残血清を用いて証明した。2)血清抗ミュラー管ホルモンはがん治療開始と共に低下し、治療後早期は変動することを前方視的解析で示し、論文報告した。3)がん・生殖医療(oncofertility)という新しい概念をひろめるため、各専門領域のヘルスケアプロバイダーに対して講演や書籍を通じて啓発活動を行った。またOncofertilityの創始者である米国Northwestern大学のTeresa Woodruff博士を平成29年3月訪問して情報交換を行った。4)本課題を基盤に国内のがん治療・生殖医療・心理・看護・相談員などによる多施設・多職種ネットワーク構築を目的とした厚生労働科学研究費補助金がん対策推進総合研究事業「小児・若年がん長期生存者に対する妊孕性のエビデンスと生殖医療ネットワーク構築に関する研究」班を立ち上げた。小児から若年成人(CAYA世代)のがん患者のための妊孕性温存治療の発展に向けた啓発活動を緊密に連携して行った。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)
Clin Pediatr Endocrinol
巻: 25(4) ページ: 119-126
10.1297/cpe.25.119
巻: 25(2) ページ: 45-57
10.1297/cpe.25.45
日本医事新報
巻: 4815 ページ: 48
思春期学
巻: 34(3) ページ: 299-302
周産期医学
巻: 46(10) ページ: 1263-1267
小児看護
巻: 39(12) ページ: 1498-1502
小児内科
巻: 48(10) ページ: 1463-1466
HORMONE FRONTEIER IN GYNECOLOGY
巻: 23(4) ページ: 345-349
日本小児科学会雑誌
巻: 120(12) ページ: 1733-1738
小児科
巻: 57(12) ページ: 1467-1473
巻: 49(2) ページ: 286-287
日本医師会雑誌
巻: 145(12) ページ: 2611