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2013 年度 実施状況報告書

下垂体で機能する甲状腺ホルモントランスポーターの同定と機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 25461547
研究種目

基盤研究(C)

研究機関大阪大学

研究代表者

難波 範行  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10379076)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード甲状腺ホルモントランスポーター / 下垂体 / 下垂体前葉 / TSH産生細胞
研究概要

甲状腺ホルモン(TH)トランスポーター mct8 欠損マウスでは、視床下部の甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)は過剰発現しており、THを大量投与しなければ抑制されない。一方、MCT8 異常症患児に 生理量の TH を投与すると 甲状腺刺激ホルモン(TSH)値は低下する。したがって下垂体では生理量の TH による negative feedback が機能していると考えられる。しかし、下垂体のTHトランスポーターの詳細は未だに不明である。そこで本研究では、下垂体において negative feedback を担うTHトランスポーターの同定を目指す。
1) 下垂体前葉におけるTHトランスポーター発現の網羅的検討
C57BL/6 マウス下垂体前葉より cDNA を作成し、RT-PCR 法で既知のTHトランスポーターを網羅的にスクリーニングした。検出したTHトランスポーター、mct8, lat1, lat2, oatp1a1, oatp1a4, oatp2b1, oatp3a1, oatp4a1 を定量的 RT-PCR 法により定量したところ、mRNAの発現量は 1.0:66.6:74.9:2.0:1.4:1.7:22.5:3.5 であった。
引き続き、マウス下垂体前葉の凍結組織切片を用い、in situ hybridization 法で lat1, oatp3a1 の発現を検討したところ、いずれも発現が確認された。
2) マウス下垂体由来 TSH 産生細胞におけるTHトランスポーターの発現解析
Dr. Pamela. L. Mellon, University of California, San Diego より供与された下垂体 TSH 産生細胞不死化株 TαT1 を培養し、実験条件の最適化を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

マウス下垂体前葉組織におけるTHトランスポーター mRNA 発現の網羅的解析は順調に進めることができた。しかしながら、同定したTHトランスポーターの下垂体前葉組織内における局在、およびTSH産生細胞における局在を示すための実験が手技的に難しく、予定通りに進められていない。すなわち、lat1, oatp3a1 が下垂体前葉の TSH産生細胞に発現していることを証明するため、in situ hybridization法施行後に抗TSH抗体(Dr. A. F. Parlow, National Hormone and Peptide Program, NIDDK より供与)との二重染色を行うと、洗浄過程が多くなりすぎ、組織片がスライドグラスからはがれ落ちてしまい、現在までに良好な染色標本が得られていない。
実験としては、抗lat1抗体、あるいは抗oatp3a1抗体と、抗TSH抗体との二重免疫染色が理想的と考えられるが、実用に耐えうる抗lat1抗体、抗oatp3a1抗体は存在しない。そこで、現行の 1) in situ hybridization 法を行った後、抗TSH抗体で免疫染色する方法のさらなる最適化、および 2) 連続切片を用いて in situ hybridization 法、抗TSH抗体による免疫染色を行う方法を平行して試みている。

今後の研究の推進方策

上述したように、下垂体前葉のTSH産生細胞においてTHトランスポーターの発現および局在を証明することが、本研究を進める上で最重要である。したがって、現行の 1) 1枚のマウス下垂体前葉の凍結組織切片スライドにおいて in situ hybridization 法を行った後、抗TSH抗体で免疫染色する方法のさらなる最適化、2) 2枚の連続切片スライドを用いて in situ hybridization 法、抗TSH抗体による免疫染色を別々に行う方法を平行して試みている。ただし、2) の方法では両者の共局在の証明がやや難しくなる。
このステップで確定的なデータが得られてはじめて、次のステップである機能解析実験を行うだけの意義が出てくると考えられるため、引き続き実験を重ねている。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 学会発表 (13件) (うち招待講演 2件)

  • [学会発表] MCT8異常症の病態と治療への展望2014

    • 著者名/発表者名
      難波範行
    • 学会等名
      第23回 臨床内分泌代謝Update
    • 発表場所
      愛知県、名古屋国際会議場
    • 年月日
      20140124-20140125
    • 招待講演
  • [学会発表] 早期に診断しえたMCT8欠損症の一例2013

    • 著者名/発表者名
      赤木幹弘、小川博子、矢野節子、藤原真須美、橋本達、櫻井舞子、藤原誠、難波範行、大薗恵一
    • 学会等名
      第51回 日本社会保険医学会総会
    • 発表場所
      群馬県
    • 年月日
      20131107-20131108
  • [学会発表] 新規遺伝子変異を認めたMCT8異常症の2例における内分泌学的検討2013

    • 著者名/発表者名
      小野英利奈、有賀賢典、大島早希子、早川美佳、今井祐之、落合幸勝、宮田市郎、難波範行、大薗恵一、井田博幸
    • 学会等名
      第47回 日本小児内分泌学会学術集会
    • 発表場所
      東京都、浅草ビューホテル
    • 年月日
      20131010-20131012
  • [学会発表] 甲状腺機能検査によるMonocarboxylate transporter 8遺伝子(MCT8)異常症のスクリーニングの可能性2013

    • 著者名/発表者名
      河野智敬、小澤綾子、会津克哉、小野英利奈、有賀賢典、宮田市郎、浜野晋一郎、難波範行、大薗恵一、望月弘
    • 学会等名
      第47回 日本小児内分泌学会学術集会
    • 発表場所
      東京都、浅草ビューホテル
    • 年月日
      20131010-20131012
  • [学会発表] 重度精神運動発達遅滞の精査で診断されたMonocarboxylate transporter 8異常症の2例2013

    • 著者名/発表者名
      伊達木澄人、中富明子、原口康平、里龍晴、藤原誠、難波範行、大薗恵一、森内浩幸
    • 学会等名
      第47回 日本小児内分泌学会学術集会
    • 発表場所
      東京都、浅草ビューホテル
    • 年月日
      20131010-20131012
  • [学会発表] Thyroid hormone transporter expression in the murine anterior pituitary lobe2013

    • 著者名/発表者名
      Fujiwara M, Namba N, Kawai M, Yamamoto K, Miura K, Kitaoka T, Kubota T, Ozono K
    • 学会等名
      9th Joint Meeting of Paediatric Endocrinology
    • 発表場所
      MiCo, Milan, Italy
    • 年月日
      20130919-20130922
  • [学会発表] A case of MCT8 deficiency with a novel mutation in the SLC16A2 gene2013

    • 著者名/発表者名
      Ono E, Ariga M, Oshima S, Hayakawa M, Imai M, Ochiai Y, Matsushima S, Miyata I, Namba N, Ozono K, Ida H
    • 学会等名
      9th Joint Meeting of Paediatric Endocrinology
    • 発表場所
      MiCo, Milan, Italy
    • 年月日
      20130919-20130922
  • [学会発表] A novel MCT8 mutation in a Japanese patient with Allan-Herndon-Dudley Syndrome2013

    • 著者名/発表者名
      Dateki S, Haraguchi K, Sato T, Nakatomi A, Fujiwara M, Sakurai M, Namba N, Ozono K, Moriuchi H
    • 学会等名
      9th Joint Meeting of Paediatric Endocrinology
    • 発表場所
      MiCo, Milan, Italy
    • 年月日
      20130919-20130922
  • [学会発表] Endocrinological investigations in two cases of MCT8 abnormality with novel mutations in the SLC16A2 gene2013

    • 著者名/発表者名
      Ono E, Ariga M, Oshima S, Hayakawa M, Imai M, Ochiai Y, Matsushima S, Miyata I, Namba N, Ozono K, Ida H
    • 学会等名
      The Endocrine Society's 95th Annual Meeting & Expo
    • 発表場所
      Moscone Center, San Francisco, CA, USA
    • 年月日
      20130615-20130618
  • [学会発表] 成長障害と骨におけるシグナル伝達機構に関する研究2013

    • 著者名/発表者名
      難波範行
    • 学会等名
      第86回 日本内分泌学会学術総会
    • 発表場所
      宮城県、仙台国際センター
    • 年月日
      20130425-20130427
    • 招待講演
  • [学会発表] 下垂体において甲状腺ホルモンnegative feedbackを担う甲状腺ホルモントランスポーターの検索2013

    • 著者名/発表者名
      藤原誠、難波範行、川井正信、山本景子、三浦弘司、北岡太一、窪田拓生、大薗恵一
    • 学会等名
      第86回 日本内分泌学会学術総会
    • 発表場所
      宮城県、仙台国際センター
    • 年月日
      20130425-20130427
  • [学会発表] 新規遺伝子変異を認めたMCT8異常症の1男児例2013

    • 著者名/発表者名
      小野英利奈、有賀賢典、大島早希子、難波範行、今井祐之、宮田市郎、望月弘、大薗恵一
    • 学会等名
      第86回 日本内分泌学会学術総会
    • 発表場所
      宮城県、仙台国際センター
    • 年月日
      20130425-20130427
  • [学会発表] Expression and functional analysis of thyroid hormone transporters in chondrocytes

    • 著者名/発表者名
      Namba N, Abe S, Abe M, Fujiwara M, Aikawa T, Kogo M, Ozono K
    • 学会等名
      第30回 小児代謝性骨疾患研究会(Recent progress in pediatric bone disease)
    • 発表場所
      大阪府、千里ライフサイエンスセンター

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公開日: 2015-05-28  

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