研究課題/領域番号 |
25461548
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
北岡 太一 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教(常勤) (20599229)
|
研究分担者 |
難波 範行 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10379076)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | スクレロスチン / ビスフォスフォネート / 骨形成不全症 / 骨細胞 |
研究概要 |
線維芽細胞増殖因子23(FGF23)は主に骨細胞から分泌されるリン制御因子であり、尿細管におけるナトリウム・リン共輸送体および1-α水酸化酵素の発現低下により低リン血症をもたらすが、分泌制御機構の詳細は不明である。申請者らは、骨形成不全症児に対するビスフォスフォネート治療におけるFGF23濃度の変化を検討し、FGF23 濃度の低下が血清リン値の低下と同じかそれより早い段階から起こることを見出した(Kitaoka T. J Bone Miner Metab 2011)。これはビスフォスフォネートの骨細胞への直接作用の可能性を示唆する結果であり、スクレロスチンなどの他の骨細胞由来因子も同様に制御されている可能性がある。この機序の解明は骨細胞機能制御機構の解明のみならず、種々の骨疾患に対する新規治療の開発につながると考えられる。 平成25年度は骨形成不全症児に対するパミドロネート治療によるスクレロスチン濃度の経時変化についての検討をすすめた。初回治療群4例と既治療群9例において、連日3日間のパミドロネート点滴治療経過中の血清カルシウム(Ca)、リン(P)、intact PTH、1,25(OH)2D、FGF23、およびスクレロスチン濃度を測定した。全ての症例で治療による血清Ca、Pの低下、およびintact PTH、1,25(OH)2Dの上昇を認めた。また初回点滴治療時と2サイクル目の点滴治療時では、各パラメータの変動幅が減少していた。一方、スクレロスチン濃度に関しては、点滴治療経過中の急性期反応では有意な変化を認めていないが、各治療サイクルでの治療前値を用いた長期経過の検討では治療により上昇する傾向を認めている。パミドロネート点滴治療によるスクレロスチン濃度の変化は治療効果に関する指標となる可能性が示唆される。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は既治療群での骨形成不全症児に対するパミドロネート治療によるスクレロスチン経時変化の検討および経口ビスフォスフォネート治療によるスクレロスチン経時変化の検討を行う予定であった。前者については9名よりインフォームドコンセントが得られ、検討を進めているところである。後者については2名よりインフォームドコンセントが得られており、今後検討を進めて行く。一方、平成26年度の研究実施計画であった初回治療群での骨形成不全症児に対するパミドロネート治療によるスクレロスチン経時変化の検討に関しても4名よりインフォームドコンセントが得られ検討を進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
1) 骨形成不全症児に対するパミドロネート治療によるスクレロスチン経時変化の検討 パミドロネート点滴治療によるスクレロスチン濃度の変化は各治療サイクルにおける急性期反応は小さい可能性が示唆された。検討症例数が少ないため、引き続き症例数を増やし検討を進める。一方、各治療サイクルでの治療前値を用いた長期経過については増加傾向が認められており、引き続き治療経過を追うとともに症例数を増やし、各種パラメータとの比較検討にくわえ、骨代謝マーカーおよび骨密度とスクレロスチン濃度変化について検討をすすめる。 2) 骨形成不全症児に対する経口ビスフォスフォネート治療によるスクレロスチン経時変化の検討 経口ビスフォスフォネート治療を行っている骨形成不全症児での、長期経過における各種パラメータとスクレロスチンとの関連についても検討をすすめていく。
|