研究課題/領域番号 |
25461551
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
花木 啓一 鳥取大学, 医学部, 教授 (20238041)
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研究分担者 |
神崎 晋 鳥取大学, 医学部, 教授 (90224873)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 小児肥満 / インクレチン / 食物嗜好 / メタボリックシンドローム |
研究概要 |
この研究では、食事摂取に伴い消化管から分泌されるホルモンであるインクレチンで最近、明らかにされた摂食・嗜好・味覚への作用(膵外作用)に注目し、小児肥満・メタボリック症候群における①インクレチン経路の病態と、②介入治療への反応性との関連を明らかにすることを目的としている。本研究では、まず、cohort研究として、健常小児と肥満小児において、インクレチン膵外作用の指標となりうる味覚や食物嗜好の個人差と体格との関連についての検討を行った。 健常小児の食品嗜好の評価:6~12歳の健常小児486名(男231名、女255名)を対象として、イラスト選択法により食物嗜好の評価を実施し、対象者の性、年齢層、BMIとの関連について検討した。統計解析として、群間の差の検定にはMann-Whitney検定とKruskal-Wallis検定を、変数間の相関解析にはSpearmanの順位相関を用いた。 食物嗜好の指標の中で、脂肪エネルギー比率、飽和脂肪酸スコアは、各年齢層で女より男で有意に高値を示した(脂肪エネルギー比率 7~9歳:男 41.0±6.6 vs 女 39.4±6.6、10~12歳:男 42.1±6.1 vs 女 39.2±7.2、飽和脂肪酸スコア 7~9歳:男 3.9±1.4 vs 女 3.5±1.5、10~12歳:男 3.9±1.5 vs 女 3.4±1.5、p<0.05)。イラストをランダムに選択した場合の仮想値を算出し、これらの結果と比較した。対象の平均エネルギー、脂肪エネルギー比率、飽和脂肪酸スコアの50パーセンタイル値は、この仮想値より高値を示した。 今回の検討では、7~9歳の学童期ではすでに、脂肪エネルギー比率、飽和脂肪酸スコアは、それぞれ女より男で有意に高値を示し、学童期で食物嗜好の明らかな性差が認められた。小児肥満への介入に際しては、食物嗜好の性差による反応性に差異が生じる可能性を示唆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度については、コホート研究を先行させてデータは得られたが、それ以外のin vivo研究については、例数の獲得に時間を要した。今年度の経験をもとに、来年度はより効果的な例数の検討を期す。
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今後の研究の推進方策 |
コホート研究の結果をさらに詳細に解析するとともに、vivo研究の例数の確保、in vitro研究の基礎的検討についても継続して実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究は、主にコホート研究を主体とした。研究のためにかかる費用は、他のin vivo研究やin vitro研究に比して少ないため、今年度の使用額は予定より少額でした。 来年度以降は、研究範囲の増加が見込まれているので、今年度からの繰越も含めて、補助いただいた金額を使用予定です。
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